Quantcast
Channel: アジアと小松
Viewing all articles
Browse latest Browse all 921

20190831小松基地第2滑走路(案)について

$
0
0
小松基地第2滑走路(案)について          2019年8月

 『アジアと小松』の読者から、「第2滑走路の候補地は安宅新町の跡地から工業団地にかけてではないか」との連絡が来た。それで、インターネットで、基地周辺地図を見てみると、安宅新町の集団移転がほぼ終了し、ほとんどが空き地になっている。

 昨年2018年2月13日の石川県議会予算委員会で、福村章は安宅新町跡地(+エアターミナルビルの新築移転など)を利用して、第2滑走路を作るべきといっているようだ。

 今年2019年3月20日の小松市議会でも、「小松空港の二本目滑走路の建設についての意見書」が、賛成・反対討論の末、採択された。これらの情報を精査することにした。

<小松基地滑走路は過密か>
福村章県議 小松空港の状況を平成当初と比べてみますと、国内線は9便から19便にふえております。
小松市意見書 国内戦6路線、国際線3路線、国際貨物
川崎順次小松市議 国内20便、国際3便、合計23便
吉本慎太郎小松市議 国内、国際の定期便を合わせると、1日の発着回数は約50回

→ 手元の資料「小松基地月間航空交通量」(2001~2018年度、2010、2011年度資料は欠落)によれば、16年分の軍用機の管制総数は30万4480回、民間機は25万5326回で、年間平均で見ると、軍用機は1万9030回、民間機は1万5958回である。

 軍用機+民間機の管制数で最も多かったのは2003年度の3万6280回だったが、2012年度以降は概ね3万5000回を前後している。1日(午前8時から午後8時までの12時間)に96回程度で、1時間に8回、8分間に1回程度の頻度である。この程度を過密などと言うのは黒いカラスを白いと言うのにひとしい。



<スクランブル発進について>
福村章県議 小松基地においては、…対岸諸国からの脅威に日本国がさらされているということであります。したがって、平成当初は年600回であったスクランブルが平成28(2016)年には1,068回、大幅にふえている。…最近、元小松基地司令が「日本海が大変な脅威にさらされている中、民航が優先され、基地が自由に使えない」との不満…。

→この数値は航空自衛隊全体のスクランブル発進の数値であり、小松基地単独の数値ではない。
 福村は「平成当初は年600回」と言っているが、1981(S56)、1982(S57)、1984(S59)には年間900回を超えている。福村が言う「平成初年(1989年)は600回」ではなく、800回を超えている。ウソも休み休みに言え。

 その後、1990年代以降は、2012年までは141回から600回の間を上下しており、2013年から18年までの6年間の年平均は950回である。しかも、同期間(6年間)の小松基地を含む中部航方面隊からの緊急発進は年間63回程度である。

 小松基地に限って言えば、手元には、1970年から2006年の37年分の資料しかないが、1981年前後は年間180回を記録しているが、その後激減し、1990年以降は二桁台である(2005年は9回!)。2007年以降の小松基地の緊急発進数は発表していない。

 福村章は元小松基地司令の発言を紹介して、民航が軍事を圧迫しているかのように言いなしているが、川崎順次小松市議の反対討論では、「今、何の支障もない」「(自衛隊は)現状で滑走路の2本は要らない」と防衛省の見解を紹介しており、福村章は180度真逆のことを述べている。



<何処に建設するのか>
福村章県議 現在小松市が工業用地として活用しようとしている20万平方メートル以上の隣接地をほかに転用したら拡張用地がなくなる。…築後既に40年近くがたつエアターミナルビルの新築移転についても当然のことながら並行して考えていくべき。
橋本米子小松市議 滑走路の間隔については最低でも210メーター、独立して運用するためには300メーターを確保する必要がある。

→福村は、明言こそしていないが、「20万㎡以上の隣接地」とは安宅新町の移転跡地のことだと思われる。跡地は本滑走路から約250メートル離れており、エアターミナルビルを移転新築し、現工業団地の一部を移転すれば、2000メートル程度の第2滑走路を建設出来るという話しなのだろう。

 国際民間航空機関基準によると、「最少間隔210メーターでは、滑走路間での大型機の一時待機が他の離着陸機に影響が出る」が、隣接地には、滑走路間に300メートル以上の間隔をあけるだけの土地はない。

 もともと安宅新町の住民は騒音被害から逃れるために、やむなく海側に数十メートル移動して新たな安宅新町を形作っている。もしも、安宅新町跡地と工業団地を使って第2滑走路を作れば、安宅新町住民は移転以前よりも滑走路に近くなり、騒音地獄に陥るだろう。

 しかも、安宅新町(第2滑走路)の北東延長線上には、草野町(安宅新町跡地から500m)、浜佐美本町(同700m)、浮柳町(同800m)、鶴ヶ島町(同1km)、安宅町(同1.3km)、小島町(同2km)がひしめいているのである。第2滑走路を建設し、住民の生活を犠牲にしてでも、経済効果と軍事効果を上げようというのか。本末転倒の言説である。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 921

Latest Images

Trending Articles