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20241218石川県内の軍需産業(中間報告)

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20241218石川県内の軍需産業(中間報告)

 石川県内の軍需(防衛)産業について調べはじめている。かつて1950年代朝鮮戦争下で、小松製作所で作られた砲弾試射のために、内灘砂丘を接収しようとしたことにたいして、内灘村民と全国の労働者学生は猛然とたたかいに立ち上がった。それから70年が過ぎ、2025年度防衛予算8兆5000億円、2027年度までの5年間に43兆円を戦争のために注ぎ込もうとしている。

1980年代の石川県内軍需工場
 久し振りに、本棚の隅に隠れていた『日本の兵器工場』(鎌田慧著1983年)を引っ張りだし、「兵器工場一覧」(304頁~)から石川県内の軍需産業について摘記すると、次の5件が挙げられている。
①小松製作所(砲弾弾体、砲弾薬莢、75式自走多連装ロケット弾発射機、73式装甲車、新雪上車、105ミリりゅう弾、4・2インチ迫撃砲弾、車両部品、装甲車、自走りゅう弾砲の車体、自走迫撃砲など)、
②石川製作所(地雷、爆弾、ダミー弾、普通信管、水中兵器―機雷、爆雷、掃海関係)、
③日本冶金工業(ステンレス鋼、耐熱鋼、鍛造品)、
④村田製作所(電子機器部品)、
⑤七尾造船(カッター:端艇・短艇=軍艦艦載の救命艇)(注:現在同名の会社はなく、近藤造船所など5社がある)
⑥隣県富山の不二越(ジェットエンジン用主軸受、補機用軸受、機体用軸受)

2020年代の軍拡
 それから40年の時が流れ、現在の軍需(防衛)産業について、「国際情勢マンスリーレポート NO.14」(2024/4/30)は、「日本の防衛産業の市場規模は約3兆円、日本の工業生産額全体の1%以下にとどまるが、それでも三菱重工業、川崎重工業、三菱電機といった大手の下に、何千社もの下請けが連なる。例えば戦闘機で約1100社、戦車で約1300社、護衛艦は約8300社が関わっている」と書いている。
 NHK(2024/8/30)は、防衛予算について次のように報道している(要約)。
 防衛省は、2025年度一般会計予算の概算要求で、過去最大となる8兆5000億円余りを求めることを決めました。複数の人工衛星を連携させて情報を収集するシステム「衛星コンステレーション」を構築する費用3232億円を計上しています。また、敵基地攻撃(反撃能力)のための「スタンド・オフ・ミサイル」として、艦艇から発射できるよう改良し、射程距離も伸ばした「12式地対艦誘導弾」に、170億円を計上するなどしています。
 政府は、防衛力の抜本的強化に向けた整備計画に基づいて、2027年度までの5年間にあわせておよそ43兆円を支出するとしていて、防衛費は昨年度から急速に増えています
 武器・兵器も変化し、軍需産業と平和産業の境目もなくなり、すべての産業が軍事に繋がっている。武器には銃、砲、爆発物投射機、銃弾、砲弾、砲弾火薬装填加工、爆発物、爆発物火薬装填加工、爆発物の部品・付属品、指揮装置の部品・付属品、銃・砲・爆発物投射機・戦闘車両・銃弾・砲弾の部品・付属品などがあり、これらの生産に関わっている石川県内の企業リストを下記に挙げる。

石川県内の軍需(防衛)企業リスト
 ネット上で石川県内の軍需会社を調査したが、従来の軍需会社に加えて、さまざまな企業が軍需(防衛)に群がっている。
 小松製作所・コマツ(小松市)/石川製作所(白山市)/TANIDA(かほく工場)/加賀産業(小松支店:加賀市 分校町)/ムラシマ事務所(本社・金沢事務所:泉野出町)/岩本鉄工所(小松市 吉竹町)/ホクコク地水(金沢市 御影町)/津田駒工業(金沢市 野町)/高林製作所(金沢市 金市町)/TANIDA谷田合金(かほく市 高松)/浅下鍍金(白山市 横江町)/北菱(小松市 長田町)/東興産業株式会社(かほく市 若緑)/村田製作所(穴水、七尾市、白山市、能美市、小松市、羽咋市に子会社)/アウトソーシングテクノロジーKK(金沢支店)/デロイト トーマツ コンサルティング合同会社(金沢市 広岡)/大同工業(加賀市 熊坂)/トランテックス(白山市 徳丸)/シグマ光機KK(能登工場、白山工場)/メイテックフィルダーズKK(金沢EC 駅西本町)
 以下、各企業に関する情報を下記に摘記する。

●小松製作所・コマツ(本社:東京、粟津工場、金沢工場)
<Wikipedia>によれば、
 車両の他、各種弾薬の製造・納入をおこなっている。弾薬製造事業については、利益率は低いものの受注は安定が見込まれ、2022年以降も継続する考えを示している。
 試製56式装甲車I型/SUB-2(新型装甲車)/82式指揮通信車/87式偵察警戒車/96式装輪装甲車/軽装甲機動車/装輪装甲車(2018年開発中止)/60式自走106mm無反動砲/60式自走81mm迫撃砲/60式自走107mm迫撃砲/203mm自走榴弾砲/60式3t雪上車/61式大型雪上車/74式自走105mmりゅう弾砲/75式130mm自走多連装ロケット弾発射機/76式対砲レーダ装置 JMPQ-P7(対砲レーダ用装軌車のみ)/75式ドーザ(陸自の施設科が使用している装甲付のブルドーザー)/施設作業車(陸自の装備する装甲工兵車両)/化学防護車(陸自の化学科部隊が装備する6輪の装甲車両)/NBC偵察車(陸自の核・生物・化学兵器対処用の装輪装甲車)/掩体掘削機(陸自施設科の装備)/グレーダ(整地作業をする機械)
 2022年度の連結売上高は3兆5,435億円となり、その90%以上を建設機械・車両事業。現状の実力は、営業利益率10%から11%というところで、円安効果で2%ほど上乗せされている状態。弾薬事業はコマツ全体の売り上げの1%もない。
 「2023年度の政治献金は800万円でした」(コマツHP)と、自民党との癒着関係を自己曝露している。

●石川製作所(本社:白山市福留町)
 石川製作所の主軸は防衛機器生産で、機械水雷(機雷)、航空機用発電機器などである。
 <2024/7/3 Quick Money Warld>では、石川製作所、防衛費増大を背景に30期ぶりに復配(配当復活)/<2024/5/9日経>では、2025年3月期の連結純利益が3億7000万円になりそう。/<2024/11/11日経>によれば、2024/4~9月期の連結決算は、純利益が前年同期比5.7倍の2億1500万円だった。2023年10月に施行された防衛生産基盤強化法により、機雷など主力の防衛機器部門の利益率が大幅に改善した。防衛省からの発注時の利益率も平均約8%程度から最高15%に引き上げられた。2025年3月期通期の業績予想は、純利益は前期比47%増の3億7000万円を見込む。売上高は同18%増の160億円になる見通し。売上高のうち、約100億円を自衛隊向けの防衛機器が占めるという。
 <2024/11/12アセットライブ株式情報>では、石川製作所は、防衛装備庁が開発した「K-RX1」をベースに、91式機雷の製造を担当している/<2021/11/26 Yahoo news>では、2021年度補正予算 魚雷および機雷=217億円/<2023/2/3会社四季報>では、石川製作所―機械水雷(機雷)や航空機用電子機器を製造。防衛機器事業は同社売上高の7割を占め、2022年3月期では売上高の41.4%に当たる50億700万円余りが防衛省向けだ/<2024/9/24 J defense news>では、2024年9月11日、高見康裕防衛大臣補佐官は、石川製作所(石川県白山市)を訪問し、同社の防衛事業について説明を受け、水中武器等の製造現場等を視察。

●近藤造船所(七尾港)
 カッター:端艇・短艇(艦載の救命艇)。取り引き先は海上保安庁など。

●TANIDA(本社工場:かほく市高松)
<2024/9/24 J defense news>
 2024年9月11日、高見康裕防衛大臣補佐官は、TANIDAかほく本社工場(石川県かほく市)を訪問し、同社の防衛事業及び防衛事業の拡大に向けた成長戦略について説明を受け、航空機エンジン部品等の製造現場等を視察。
 TANIDA株式会社はアルミニウム第2次製錬・精製業(アルミニウム合金製造業を含む)を営む。
 「航空宇宙・防衛産業のサプライヤ(納品業者)における製造工程の品質を管理するための国際認証プログラム」であるNadcap認定を取得しています。

●加賀産業(本社:名古屋、小松支店:加賀市分校町)
<2024/9/26 仕事博士>
 加賀産業株式会社は、航空機や防衛関連製品の設計を主に手がける企業です。特に、川崎重工業や三菱重工業など、多くの大手企業から信頼を受けており、防衛航空機関連の設計を長年担当してきていますね。主に、航空機、水陸両用車、防衛関連製品の機械設計から試験、解析、評価までを一貫して担当します。
 陸自に配備されている車両、軽装甲機動車のエアコン組み立て品。

●ムラシマ事務所(本社・金沢事務所:泉野出町)
 官公庁案件をメインとしている設備設計事務所で、特に防衛省関連の設備設計では大手の企業で、安定した受注と業績。「政府調達」中の小松基地関係は以下の通り。
 2024/11小松飛行場技術協力業務24億2000万円/2024/2小松設備工事管理業務3850万円/2023/3小松空調改修機械その他監理900万円/2023/2小松飛行場灯火更新等設備工事監理2100万円/2022/8小松外(4)飛行場灯火更新等設備設計1353万円/2022/2小松外(3)構内配電線路等整備工事監理業務1100万円/2022/2小松(3)訓練施設新設等設備設計2805万円/2021/6小松構内通信線路等設備設計800万円/2021/3小松遮蔽壁新設建築工事監理300万円/2019/5小松(31)作業所新設等設備設計1210万円/2018/5小松外(30)局舎改修等設備設計442万円/
 自民献金→石川県第1支部―2023年12万円

●岩本鉄工所(小松市 吉竹町)
 防衛装備品の溶接板金の製作、アルミ溶接板金、レーザー切断加工、ベンダー加工、ロボット溶接、レーザー溶接、<製品>建設機械部品、物流搬送装置部品、防衛装備品、産業機械部品

●ホクコク地水(本社:金沢市御影町)
 測量、地質・土質調査、試験、計測、解析、設計、物理探査、水分調査、水源調査、環境調査、防災点検、水質検査、構造物検査、
 自民献金→石川県第1、3支部、参院第2、3支部、羽咋南支部―2023年54万円

●津田駒工業(本社:金沢市野町、野々市工場、松任工場)
<TSUDAKOMAホームページ>
 航空、宇宙、及び防衛産業向け機械加工金属部品の製造

●高林製作所(金沢市 金市町)
 主要製品:油圧バルブ及びポンプ/電磁比例制御バルブ/リリーフバルブ/航空機部品/工作機械部品/産業機械部品/半導体部品
 大手航空機部品メーカーに離着陸用の車輪を出し入れする油圧アクチュエータ用の部品を納めてきた。

●TANIDA谷田合金(本社:かほく市高松、金沢工場:東蚊爪)
 近年では特に航空宇宙・防衛産業の企業としてメディアに露出する機会が多く、コロナ禍でも同部門の大幅な売上向上を達成しています。

●浅下鍍金(白山市 横江町)
 白山市の浅下鍍金では、航空機装備品部品の表面処理。航空機装備品の表面処理を行う新工場を建設。手がけている製品は、繊維機械、建設機械、食品機械など大手企業のモノづくり現場で活躍する産業機械用、航空機装備品、半導体製造装置などの主要部品。

●北菱(小松市 長田町)
 大成建設・中東・吉光組・北菱JV(ジョイントベンチャー=共同企業体)に/小松(6)施設最適化設計技術協力/ECI(実施設計の段階からゼネコンが参画し技術協力を行う)方式の対象案件/近畿中部防衛局/工事費300~500億円<2024/9/20北陸工業新聞>
 事業内容(製造事業部):建設機械部品、産業機械部品の板金・加工〜品質保証までの一貫製造、航空機エンジン燃焼部品の加工〜品質保証までの一貫製造

●東興産業株式会社(かほく市 若緑)
 航空宇宙機器部品の製作。航空宇宙・防衛産業に特化した品質マネジメントシステム認証を取得。

●村田製作所(本社:東京、子会社:穴水、七尾、白山、能美、小松、羽咋)
 IC、コンバーター、増幅器、ノイズフィルター、パワーフィルターなど兵器に使用される可能性のある電子部品<2024/1/10産経新聞>/積層セラミックコンデンサー(MLCC)は、高品質・高性能で、スマホ・タブレット・パソコン、その他家電から自動車、産業機器にいたるまで幅広く使われている<日本ポリマー株式会社>。

●アウトソーシングテクノロジーKK(本社:東京、金沢支店:本町)
 宇宙・衛星、航空

●デロイト トーマツ コンサルティング合同会社(本社:東京、金沢事務所:広岡)
 航空宇宙、防衛産業

●大同工業(本社:加賀市熊坂)
 1938年~軍需産業化
 自民献金→石川県第2支部―2023年6万円

●トランテックス(本社:白山市徳丸)
 金産自動車工業(金産)→日野車体→トランテックス
 1942年、金沢航空工業株式会社を設立。金沢市北安江に、中島飛行機の部品下請工場として、軍用機の尾翼などを生産した(Wikipedia)。

●シグマ光機KK(本社:東京、能登工場、白山工場)
 レーザ用要素部品、製品などの生産(レーザー兵器用か?)
 自民献金→金沢第24支部―2023年6万円

●メイテックフィルダーズKK(本社:東京、金沢EC:駅西本町)
 防衛関連通信機器、防衛産業製品の機械設計、回転翼航空機装備品、ロケットエンジン関係の開発、防衛機器訓練用シミュレーター開発

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