20190120島清書籍の落書き
国立国会図書館デジタルコレクションの『大望』、『地上』第1部、『地上』第2部、『革命前後』(帝王者)、『閃光雑記』を見ると、
余白には、さまざまな落書きが記されている。島清と同時代を生きた人たちの息遣いを感じる。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『大望』(1920年)落書き
002 島清君よ最後まで大河平一郎の心を持ちつづけられなかった。
003 しかし、島清よ、君が僕に感激と自覚をあたへてくれたことを深く感謝する。
写真を破った奴、貴様は犬だ。エゴイストよ、貴様のやうな奴が此を読んだことさへが島田への(人生への)冒涜だ。
貴様が写真を持っていったって何になる。猿にペンを……した程の効果もあるまい。恥ぢろ、けだもの奴。CT生
081 何が何だかわからない。アラエッサッサ。
…1行不明…
島清は………病院で修行中なり。此の本はどの編でも必ず……が破れてゐる。
高等常識ある読者にして、かかる行為はなげかはしい事だ。
もすこし、御互に公共といふ字を味うではありませんか。6月25日 谷中KT生。
公共とは何んだ! ボヤボヤするな。公徳心と云ふものだよ。
095 紙片を破った奴、其奴こそは実にけいべつすべき、だきすべき奴。何是こんな不道徳者あるんでせう?
紙片もぎ取る様なものが、もぎ取った奴は、今ではそれを見る度にどう思うであらう。
よくもこんな浅ましいことが出来るものかと、俺は不思議でならない。
―俺も同感。
107 島清は野獣的肉感的奴なり。願はくは処女達よ! 彼にあやめられるなかれ。
実際そうだ。同感同感。
通り一遍の…………に支配されるなら、外の倫理書でも読め。
芸術の現実感、肉感を直ちに…に反る方がかへってその者の人となりをうたがはしむ。
132 島清はあまり肉感的なものをかくから発狂したんだ。
140 人皇正統史(注:『神皇正統記』のことか?)を読め。
142 宇宙の広大さを思へよ。さすれば地上の跼蹐の如何でか、時間的空間的小さな事を知りぬべし。
其の意、宇宙を…するの気になることを望む。【注:跼蹐(きょくせき)①肩身が狭いこと。②世をはばかって、ひっそりと暮らすこと。】
147 なんだ! こんなくだらない奴めから、みるんでなかった。バカバカしい。お前は馬鹿!
152 「飽くまで自分は燃えさかり、照り輝く太陽の如く、偉大で、光明と熱に充足してゐるぞ」←ぢぢいになってもか。
予は……といいしれぬ昂奮とを持って此の若き未来ある作者の……でなる『大望』一冊を読了した。ああ、絶大なれ、汝、島田。
『地上』第1部 落書き
005 島田清次郎は然り天才である。然しそれは評する人の立場から多少異なる見方はやもう得ないと思ふが、唯単に表面か裏面かどちらか片方のみを見て(智つて)其の人を評するが如きは愚もはなはだしきものあり。其の意味に於て彼の人格如何は別とし、とにかく島清の天才である事に対してはいやしくも真面目な人生を持つ人なら万言を費しておしまないであらふ。なぜならば彼は見事作家としては成功してゐる(殊に其の作に於ておやだ)。勿論彼の性格には自然主義のそれが充分うかがはれる。そして彼がある半面からは実にひどく非難されてゐる云ふ事も吾人の多くしれる所であるが、それはつまり人道主義に自らの人生観を立脚した人々の見方に外ならないのであって其れに依て彼の成功を否定する(其の事実を取消す)事は出来得ないのである。それをあだかもグラス曇りの如く、たやすく取消しでも出来るかの如く喋々する輩は自らの人生観の確立を吾人にうたがはしむるのみである。とまれ現代の社会に生存する人間に於てはいやしくも真の個々の人生に対する真面目な批判力を持ち合せてゐる限りは吾人の魂が人間本来の欲望と人格構制との「るつぼ」の中になげこまれてゐる事実を認てこそ諸問題の批評と云ふものである。其×には×めて其の××を表はす。(第1章冒頭)
忘×多× 1933、6月10日 母退院の翌日なり
惜しむらくは彼の早逝である。
(024)俺にはこんな大嘘……
早熟すぎ。国賊
……14日この地上の著者の某少将の令嬢をゆうかいしたと新聞紙上に見…若し平一郎が前××であったら…以下不明…
(027)いやな感じがする。下手だ。もうすこし清……
諸君! こんな小説を書くけれど、×に限ってあまり×学を体験してゐないんだ。
清次郎色魔。夭才。
ああ、汝、清次郎よ、×夢人よ! 然し俺の愛は……?
(028)若者に告ぐ。←芸術を×大せよ。ばかもの。(第2章冒頭)
処女作に好評を待て憑になりた君の
××○○新聞に×の令嬢を誘拐して遠くまでつれ行×力を以ておどし、処女をけがしたとの記事を見る。
今君の(若し大河平一郎が君自身なりせば)少年時代の××を記せんこの著書を見て××を感じる……←同感!
芸術は永遠に生きるのだ。島田君×は黙って頭を下げ…
貴様のやうな馬鹿者がいつでも自称天才の愚かしい取巻連だ。
冬子の様な女が何と多数金沢の遊廓には居ることだらう。
それはほんとうかい?
行って見たいなあ。
書けば言けるものです。だけどね天分は造られるものぢや …
人間××それは神×迄…
天分を殺した日本人を怨む
貴様もバカだ。
(032)明治代の此の×××の描写は×の××を通して、驚嘆に値するものである。
お幸の様な×は金沢にはゐない。
(034)第一芸妓屋に楼のつく家があるか。女郎屋と芸妓屋を……
(052)少くとも芸×の心を…
二度、不同、だらけ
平一郎は余り早熟すぎる。
(053)俳優島田××の様は厭味たっぷりな文章だ。(第3章の扉)
(073)人間の本来の欲望の前に人格の××を×からしめる人を示さなかったまでだ。
(078)大自然之××れられる。うまいうまい。
(088)うまいぞ。
誠なる乎、真理
熱狂人の云はば変態的心理描写をかし。やすやすとやってのける所に彼の威があり。才を覗けるのである。
(095)若きものよ、すべからく此の意気を愛ず。
(098)Yes 嗚呼、大河、俺は汝に同情する。まぼろしの女の実として、汝は
哀れなる弱い女を持った大河ぞ(第5章末尾)
(102)実に観察が行き届いてる。
実に簡にして×あり。
島田氏の近辺を知る範囲×の××に×は如何に懐かしいものであらうか。
(103)面白い事を記憶してゐるな。
なるほど、気がつかなかった。
何人も青春の××に醒めた男性の真理×××や知るまい。蓋し実×であらねばならぬ。
(105)早熟ものの心理、平凡人には危険視せられやすい事を御注意あれ。
(108)事実、世の中にはこう云ふ事もなるだろう。然しみんな××でもないんだ!
(109)今の世は実にかく……若者の教育に的さないのだ。
(113)もう少し×心のあるはいと云ふものをもて。老いぼれは…もうろくするな!教育者のくせに。
(114)全く此の××な気持を善導すべき教育者の立場にゐるものが往々にしてそれとは反対なゆがんだ下劣な思想に導いて往く罪悪を平気でをかしてゐるものが世間には余り多すぎる。
体操の教師は馬鹿野郎。
(115)自分の思った事感じた事、×らかな著者の心情をよどみなく云へた君の立場の方が今までの僕の立場よりどんなにか幸で詩的あったかしれない。
私とて教師の前にどんなにか××しなかった、なければならなかっただろう。それは……を案ずる母のためにのみあったのだ。
(119)二人のハートの中、今如何?
二人は退学された噫……死する二人で抱き合て永久に、それが人生の幸福なるぞ、平一郎。
愛する乙女と、否和歌子とあの花咲く世の中へ、二人は幸福に、予は祈る。
天才青年作家・清次郎君の祈幸。
おー、天才よ!幸に健全なれ。
天才よ今少し世に恥ぢる勿れ
人生よ、人間よ、永遠になやみ続けるのか。(第7章冒頭)
同種××島清
(120)かれらの別れねばならぬ時がくるのだ。(第7章冒頭)
八章で遂に牙。
罪だな、危険危険、此世でも又一人の若者の人生観を逆転させそうなをそれがある。
(131)×××達には此の××の心持で接してやればよかったのだ。あああああああ
墜落の第一歩
×政治家がそんな事に生甲斐を感じねばならなかったとは。
(132)馬鹿
啄木全集。彼亦天才也。to be or not to be.「一握の砂」
何のことだかさっぱり解らぬ。島清も存外御めでたいね。
誰だか知らぬが貴様が馬鹿だ。
(139)(啄木の「一握の砂」を記し)天才よ、たくぼくよ、島田よ、何ぞ去る速き(第8章扉)
(150)古きものに新らしきものが打勝×力があり得ようか?(第8章末尾)
(174)×殺はエゴイストの功利的手段にすぎないのだ。アメリカ人を見よ。彼等は右手は武器を、左手に聖書持って居のだ。
(177)(第9章末尾)島清の生涯は性格の生んだ悲劇と言へよう。舟木少将の娘を強姦したことも、彼のやりさうな事だ。
島清はだれかに天才だ、狂人になった事が××証する。天才と狂人は紙一重の差だからな。
誹謗と反感はすべて若き天才に対する人間の嫉妬心より来る。
落書きして何になる。馬鹿。
犯人はみんな天才か? 馬鹿、小人度し難し。島清は断じて天才に非ず。
馬鹿者、密かに天才××するものなき妄想せよ。
自称天才の×としていつわり×的主義たる不幸。
誰だか知らないが、少なくとも是だけの作に対して、身の程知らずの暴言はつつしみたいものだと思ふ。
『地上』第2部 落書き
(005)島田清次郎……ることは……彼も唯人間であったのみだ。社会は此の英雄的な男をその手によって殺したのだ。
(010)いやしいやつだ、こんなとこに代×いるかい。
(046)不健全極まる小説です。若き正しき心根に、みだらないまわしい感情を抱かせるに過ぎないものである。
之なものに感動する人間は其の人自身の心の中にいまわしい欠点あるものと思はざるをえない。
小説×××健全を求めてよ×てゐるやうな馬鹿は早々に本をとじよ。
読者に云ふ。道徳的なものを求めて小説×××鑑賞態度は幼稚極まるものです。
島田の表現は必ずしも菊池寛のやうに平明な×××あざを以てゐない。
然しその表現は彼特有の英雄慾……如何にもふさわしいではないか。
×赤な熱情・××熱狂的×××××××!
不良少年と不良少女の集まりでしかない。
島田と云ふ男はわかり切った事柄とわからなく、日本人が普通用ひてゐる言葉を、
わざと、きざな、いやみたっぷりな言葉に云ひ表はしてゐる。
少くともそれは島田自身×××、××的欠かんのある少年少女に取っては、この上なき××なものとして眼に映ずるだらう。
何処に不良じみたところが………
(160)(「この偉大なるこの創作よ、うそだ、うそだ、彼奴共にわかるものか」)
⇔私はこのことばに共鳴してラインをつけたのではない。この俺の気持ちは……く平凡な人たちにだけわかると思ふ。
(165)(「今日の国家制度も、今日の社会組織も、今日の政治も、今日の教育も、今日の法律も、
すべてのものは僕等大部の人間にとっては重荷でしかないのだ」)
⇔社会人生のひがみ。多少過激だ。どこが過激だ。社会をよく見ろ。
(206)自己を熱×する心が自然を×得せしむる。
大自然××得×自己創造の母………である。小泉生
(231)××るやさしい×のなん人も金沢に多いことよ。
(233)人々よ迷ふ勿れ、島田清次郎なる一変体心理の所有者の狂言に迷ふ勿れ。
彼のいわんとするところも又……出来るか。余りにも……
(234)不幸にも幸福なる島田清次郎よ、俺は敢て御身を幸福者と呼ぶ。世間は如何に浮薄であることよ。
社会は己の事によって若き一天才を救ひなき深淵に突落とし乍ら、今彼を罵倒してゐるではないか。
―実際、実際。(末尾)
『革命前後』(帝王者) 落書き
(120)あらゆる社会的現象は性欲を軸として回帰する。
(169)革命…の心……を写し得たり。
国立国会図書館デジタルコレクションの『大望』、『地上』第1部、『地上』第2部、『革命前後』(帝王者)、『閃光雑記』を見ると、
余白には、さまざまな落書きが記されている。島清と同時代を生きた人たちの息遣いを感じる。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『大望』(1920年)落書き
002 島清君よ最後まで大河平一郎の心を持ちつづけられなかった。
003 しかし、島清よ、君が僕に感激と自覚をあたへてくれたことを深く感謝する。
写真を破った奴、貴様は犬だ。エゴイストよ、貴様のやうな奴が此を読んだことさへが島田への(人生への)冒涜だ。
貴様が写真を持っていったって何になる。猿にペンを……した程の効果もあるまい。恥ぢろ、けだもの奴。CT生
081 何が何だかわからない。アラエッサッサ。
…1行不明…
島清は………病院で修行中なり。此の本はどの編でも必ず……が破れてゐる。
高等常識ある読者にして、かかる行為はなげかはしい事だ。
もすこし、御互に公共といふ字を味うではありませんか。6月25日 谷中KT生。
公共とは何んだ! ボヤボヤするな。公徳心と云ふものだよ。
095 紙片を破った奴、其奴こそは実にけいべつすべき、だきすべき奴。何是こんな不道徳者あるんでせう?
紙片もぎ取る様なものが、もぎ取った奴は、今ではそれを見る度にどう思うであらう。
よくもこんな浅ましいことが出来るものかと、俺は不思議でならない。
―俺も同感。
107 島清は野獣的肉感的奴なり。願はくは処女達よ! 彼にあやめられるなかれ。
実際そうだ。同感同感。
通り一遍の…………に支配されるなら、外の倫理書でも読め。
芸術の現実感、肉感を直ちに…に反る方がかへってその者の人となりをうたがはしむ。
132 島清はあまり肉感的なものをかくから発狂したんだ。
140 人皇正統史(注:『神皇正統記』のことか?)を読め。
142 宇宙の広大さを思へよ。さすれば地上の跼蹐の如何でか、時間的空間的小さな事を知りぬべし。
其の意、宇宙を…するの気になることを望む。【注:跼蹐(きょくせき)①肩身が狭いこと。②世をはばかって、ひっそりと暮らすこと。】
147 なんだ! こんなくだらない奴めから、みるんでなかった。バカバカしい。お前は馬鹿!
152 「飽くまで自分は燃えさかり、照り輝く太陽の如く、偉大で、光明と熱に充足してゐるぞ」←ぢぢいになってもか。
予は……といいしれぬ昂奮とを持って此の若き未来ある作者の……でなる『大望』一冊を読了した。ああ、絶大なれ、汝、島田。
『地上』第1部 落書き
005 島田清次郎は然り天才である。然しそれは評する人の立場から多少異なる見方はやもう得ないと思ふが、唯単に表面か裏面かどちらか片方のみを見て(智つて)其の人を評するが如きは愚もはなはだしきものあり。其の意味に於て彼の人格如何は別とし、とにかく島清の天才である事に対してはいやしくも真面目な人生を持つ人なら万言を費しておしまないであらふ。なぜならば彼は見事作家としては成功してゐる(殊に其の作に於ておやだ)。勿論彼の性格には自然主義のそれが充分うかがはれる。そして彼がある半面からは実にひどく非難されてゐる云ふ事も吾人の多くしれる所であるが、それはつまり人道主義に自らの人生観を立脚した人々の見方に外ならないのであって其れに依て彼の成功を否定する(其の事実を取消す)事は出来得ないのである。それをあだかもグラス曇りの如く、たやすく取消しでも出来るかの如く喋々する輩は自らの人生観の確立を吾人にうたがはしむるのみである。とまれ現代の社会に生存する人間に於てはいやしくも真の個々の人生に対する真面目な批判力を持ち合せてゐる限りは吾人の魂が人間本来の欲望と人格構制との「るつぼ」の中になげこまれてゐる事実を認てこそ諸問題の批評と云ふものである。其×には×めて其の××を表はす。(第1章冒頭)
忘×多× 1933、6月10日 母退院の翌日なり
惜しむらくは彼の早逝である。
(024)俺にはこんな大嘘……
早熟すぎ。国賊
……14日この地上の著者の某少将の令嬢をゆうかいしたと新聞紙上に見…若し平一郎が前××であったら…以下不明…
(027)いやな感じがする。下手だ。もうすこし清……
諸君! こんな小説を書くけれど、×に限ってあまり×学を体験してゐないんだ。
清次郎色魔。夭才。
ああ、汝、清次郎よ、×夢人よ! 然し俺の愛は……?
(028)若者に告ぐ。←芸術を×大せよ。ばかもの。(第2章冒頭)
処女作に好評を待て憑になりた君の
××○○新聞に×の令嬢を誘拐して遠くまでつれ行×力を以ておどし、処女をけがしたとの記事を見る。
今君の(若し大河平一郎が君自身なりせば)少年時代の××を記せんこの著書を見て××を感じる……←同感!
芸術は永遠に生きるのだ。島田君×は黙って頭を下げ…
貴様のやうな馬鹿者がいつでも自称天才の愚かしい取巻連だ。
冬子の様な女が何と多数金沢の遊廓には居ることだらう。
それはほんとうかい?
行って見たいなあ。
書けば言けるものです。だけどね天分は造られるものぢや …
人間××それは神×迄…
天分を殺した日本人を怨む
貴様もバカだ。
(032)明治代の此の×××の描写は×の××を通して、驚嘆に値するものである。
お幸の様な×は金沢にはゐない。
(034)第一芸妓屋に楼のつく家があるか。女郎屋と芸妓屋を……
(052)少くとも芸×の心を…
二度、不同、だらけ
平一郎は余り早熟すぎる。
(053)俳優島田××の様は厭味たっぷりな文章だ。(第3章の扉)
(073)人間の本来の欲望の前に人格の××を×からしめる人を示さなかったまでだ。
(078)大自然之××れられる。うまいうまい。
(088)うまいぞ。
誠なる乎、真理
熱狂人の云はば変態的心理描写をかし。やすやすとやってのける所に彼の威があり。才を覗けるのである。
(095)若きものよ、すべからく此の意気を愛ず。
(098)Yes 嗚呼、大河、俺は汝に同情する。まぼろしの女の実として、汝は
哀れなる弱い女を持った大河ぞ(第5章末尾)
(102)実に観察が行き届いてる。
実に簡にして×あり。
島田氏の近辺を知る範囲×の××に×は如何に懐かしいものであらうか。
(103)面白い事を記憶してゐるな。
なるほど、気がつかなかった。
何人も青春の××に醒めた男性の真理×××や知るまい。蓋し実×であらねばならぬ。
(105)早熟ものの心理、平凡人には危険視せられやすい事を御注意あれ。
(108)事実、世の中にはこう云ふ事もなるだろう。然しみんな××でもないんだ!
(109)今の世は実にかく……若者の教育に的さないのだ。
(113)もう少し×心のあるはいと云ふものをもて。老いぼれは…もうろくするな!教育者のくせに。
(114)全く此の××な気持を善導すべき教育者の立場にゐるものが往々にしてそれとは反対なゆがんだ下劣な思想に導いて往く罪悪を平気でをかしてゐるものが世間には余り多すぎる。
体操の教師は馬鹿野郎。
(115)自分の思った事感じた事、×らかな著者の心情をよどみなく云へた君の立場の方が今までの僕の立場よりどんなにか幸で詩的あったかしれない。
私とて教師の前にどんなにか××しなかった、なければならなかっただろう。それは……を案ずる母のためにのみあったのだ。
(119)二人のハートの中、今如何?
二人は退学された噫……死する二人で抱き合て永久に、それが人生の幸福なるぞ、平一郎。
愛する乙女と、否和歌子とあの花咲く世の中へ、二人は幸福に、予は祈る。
天才青年作家・清次郎君の祈幸。
おー、天才よ!幸に健全なれ。
天才よ今少し世に恥ぢる勿れ
人生よ、人間よ、永遠になやみ続けるのか。(第7章冒頭)
同種××島清
(120)かれらの別れねばならぬ時がくるのだ。(第7章冒頭)
八章で遂に牙。
罪だな、危険危険、此世でも又一人の若者の人生観を逆転させそうなをそれがある。
(131)×××達には此の××の心持で接してやればよかったのだ。あああああああ
墜落の第一歩
×政治家がそんな事に生甲斐を感じねばならなかったとは。
(132)馬鹿
啄木全集。彼亦天才也。to be or not to be.「一握の砂」
何のことだかさっぱり解らぬ。島清も存外御めでたいね。
誰だか知らぬが貴様が馬鹿だ。
(139)(啄木の「一握の砂」を記し)天才よ、たくぼくよ、島田よ、何ぞ去る速き(第8章扉)
(150)古きものに新らしきものが打勝×力があり得ようか?(第8章末尾)
(174)×殺はエゴイストの功利的手段にすぎないのだ。アメリカ人を見よ。彼等は右手は武器を、左手に聖書持って居のだ。
(177)(第9章末尾)島清の生涯は性格の生んだ悲劇と言へよう。舟木少将の娘を強姦したことも、彼のやりさうな事だ。
島清はだれかに天才だ、狂人になった事が××証する。天才と狂人は紙一重の差だからな。
誹謗と反感はすべて若き天才に対する人間の嫉妬心より来る。
落書きして何になる。馬鹿。
犯人はみんな天才か? 馬鹿、小人度し難し。島清は断じて天才に非ず。
馬鹿者、密かに天才××するものなき妄想せよ。
自称天才の×としていつわり×的主義たる不幸。
誰だか知らないが、少なくとも是だけの作に対して、身の程知らずの暴言はつつしみたいものだと思ふ。
『地上』第2部 落書き
(005)島田清次郎……ることは……彼も唯人間であったのみだ。社会は此の英雄的な男をその手によって殺したのだ。
(010)いやしいやつだ、こんなとこに代×いるかい。
(046)不健全極まる小説です。若き正しき心根に、みだらないまわしい感情を抱かせるに過ぎないものである。
之なものに感動する人間は其の人自身の心の中にいまわしい欠点あるものと思はざるをえない。
小説×××健全を求めてよ×てゐるやうな馬鹿は早々に本をとじよ。
読者に云ふ。道徳的なものを求めて小説×××鑑賞態度は幼稚極まるものです。
島田の表現は必ずしも菊池寛のやうに平明な×××あざを以てゐない。
然しその表現は彼特有の英雄慾……如何にもふさわしいではないか。
×赤な熱情・××熱狂的×××××××!
不良少年と不良少女の集まりでしかない。
島田と云ふ男はわかり切った事柄とわからなく、日本人が普通用ひてゐる言葉を、
わざと、きざな、いやみたっぷりな言葉に云ひ表はしてゐる。
少くともそれは島田自身×××、××的欠かんのある少年少女に取っては、この上なき××なものとして眼に映ずるだらう。
何処に不良じみたところが………
(160)(「この偉大なるこの創作よ、うそだ、うそだ、彼奴共にわかるものか」)
⇔私はこのことばに共鳴してラインをつけたのではない。この俺の気持ちは……く平凡な人たちにだけわかると思ふ。
(165)(「今日の国家制度も、今日の社会組織も、今日の政治も、今日の教育も、今日の法律も、
すべてのものは僕等大部の人間にとっては重荷でしかないのだ」)
⇔社会人生のひがみ。多少過激だ。どこが過激だ。社会をよく見ろ。
(206)自己を熱×する心が自然を×得せしむる。
大自然××得×自己創造の母………である。小泉生
(231)××るやさしい×のなん人も金沢に多いことよ。
(233)人々よ迷ふ勿れ、島田清次郎なる一変体心理の所有者の狂言に迷ふ勿れ。
彼のいわんとするところも又……出来るか。余りにも……
(234)不幸にも幸福なる島田清次郎よ、俺は敢て御身を幸福者と呼ぶ。世間は如何に浮薄であることよ。
社会は己の事によって若き一天才を救ひなき深淵に突落とし乍ら、今彼を罵倒してゐるではないか。
―実際、実際。(末尾)
『革命前後』(帝王者) 落書き
(120)あらゆる社会的現象は性欲を軸として回帰する。
(169)革命…の心……を写し得たり。