20220110 原発推進のSDGs
資本主義の本音
1月1日、EU欧州委員会は原発を脱炭素化に貢献する「グリーン」な投資対象だという原案を提示した(1/3『北陸中日新聞』)。SDGs(持続可能な開発目標)の7番目に、「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」という項目があり、石炭や石油などの化石燃料から風力や太陽熱などによる発電への転換を推奨していたが、いよいよ「資本主義の本音」が現れてきた。
さて、ドイツは?
ドイツは、2011年3月11日の福島第一原発事故の4カ月後に、すべての原発を廃止するための法律を、議会で可決した(2011/7/8)。福島原発事故以前のドイツには17基の原子炉があり、メルケル政権は福島原発事故の4日後に、「原子力モラトリアム」を発令し、1980年以前に運転を始めた7基を直ちに停止させた。この7基と、トラブルで止まっていた1基は廃炉になり、残りの9基も2022年12月31日までに順次止めていくことを決定した。
しかし、ドイツはフランス(原発58基)、チェコ(同2基)、ベルギー(同7基)から電力を輸入しており、これら三国とも原発を維持している。したがってドイツがこれらの国々から輸入する電力に、原子力で作られた電力が混ざっている(ドイツへの電力輸入量は減少しているようだが)。
EUは資本主義国家群であり、利潤追求を第1義的課題とする資本主義である限り、原発がどんなに危険な代物(スリーマイル、チェルノブィリ、福島を見よ)でも、成長戦略のためには排除できない。さて、ドイツはどのような対応をとるのだろうか?
やっとSDGs批判が始まった
日本でも(政府も、自治体も、マスコミも、企業も)、SDGsをもてはやしてきたが、新しい資本主義を掲げる岸田政権も、双手を挙げてEUのあとを追うのだろう。新自由主義であろうが、新しい資本主義であろうが、人民から収奪し、犠牲を転嫁して、肥え太っていくためには、「安定した電力=原発」を必要としているからだ。
確実に放射性物質を蓄積し、まき散らし、とんでもない事故を起こせば、その地域は死の町と化すことが、わかっていながら、原発に頼ってしか資本主義に必要な電力を確保できないなら、その資本主義の息の根を止めるしかないだろう。
立憲民主党(SDGsに関するワーキングチーム)も、共産党(SDGsプロジェクトチーム)も含めて、社会全体がSDGsに順応しているが、昨年4月には、斎藤幸平さんから「SDGsは大衆のアヘンである」(「文藝春秋」)という痛烈な批判があり、1/3報道を受けてようやく、鎌田慧さんも「『(原発を)ベースロード電源』などと吹聴している日本政府は愚鈍」(1/5)、斎藤美奈子さんも「(SDGsは)脱脱原発」(1/6)と、SDGsの欺瞞姓を批判し始めた。
今年こそ、この貪欲な老人のように老いて残酷な資本主義体制と真に別れを告げるために、一歩を記さねばならない。
資本主義の本音
1月1日、EU欧州委員会は原発を脱炭素化に貢献する「グリーン」な投資対象だという原案を提示した(1/3『北陸中日新聞』)。SDGs(持続可能な開発目標)の7番目に、「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」という項目があり、石炭や石油などの化石燃料から風力や太陽熱などによる発電への転換を推奨していたが、いよいよ「資本主義の本音」が現れてきた。
さて、ドイツは?
ドイツは、2011年3月11日の福島第一原発事故の4カ月後に、すべての原発を廃止するための法律を、議会で可決した(2011/7/8)。福島原発事故以前のドイツには17基の原子炉があり、メルケル政権は福島原発事故の4日後に、「原子力モラトリアム」を発令し、1980年以前に運転を始めた7基を直ちに停止させた。この7基と、トラブルで止まっていた1基は廃炉になり、残りの9基も2022年12月31日までに順次止めていくことを決定した。
しかし、ドイツはフランス(原発58基)、チェコ(同2基)、ベルギー(同7基)から電力を輸入しており、これら三国とも原発を維持している。したがってドイツがこれらの国々から輸入する電力に、原子力で作られた電力が混ざっている(ドイツへの電力輸入量は減少しているようだが)。
EUは資本主義国家群であり、利潤追求を第1義的課題とする資本主義である限り、原発がどんなに危険な代物(スリーマイル、チェルノブィリ、福島を見よ)でも、成長戦略のためには排除できない。さて、ドイツはどのような対応をとるのだろうか?
やっとSDGs批判が始まった
日本でも(政府も、自治体も、マスコミも、企業も)、SDGsをもてはやしてきたが、新しい資本主義を掲げる岸田政権も、双手を挙げてEUのあとを追うのだろう。新自由主義であろうが、新しい資本主義であろうが、人民から収奪し、犠牲を転嫁して、肥え太っていくためには、「安定した電力=原発」を必要としているからだ。
確実に放射性物質を蓄積し、まき散らし、とんでもない事故を起こせば、その地域は死の町と化すことが、わかっていながら、原発に頼ってしか資本主義に必要な電力を確保できないなら、その資本主義の息の根を止めるしかないだろう。
立憲民主党(SDGsに関するワーキングチーム)も、共産党(SDGsプロジェクトチーム)も含めて、社会全体がSDGsに順応しているが、昨年4月には、斎藤幸平さんから「SDGsは大衆のアヘンである」(「文藝春秋」)という痛烈な批判があり、1/3報道を受けてようやく、鎌田慧さんも「『(原発を)ベースロード電源』などと吹聴している日本政府は愚鈍」(1/5)、斎藤美奈子さんも「(SDGsは)脱脱原発」(1/6)と、SDGsの欺瞞姓を批判し始めた。
今年こそ、この貪欲な老人のように老いて残酷な資本主義体制と真に別れを告げるために、一歩を記さねばならない。