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Channel: アジアと小松
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20220128 ああ、翫(いとう)さんが亡くなった

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ああ、翫(いとう)さんが亡くなった

 僕がまだなのに、あなたは逝った。
 昨年、会ったときは、体調もだいぶ良くなっていて、
 そのとき、あなたが言ったことは、
 次の裁判(12月20日)には参加する、と。
 待っていたのに、あなたは来なかった。

 思い出せばキリがない。
 いいことも、悪いことも、
 いっぱい迷惑をかけたことも。

 そっちに、森惣太郎さんがいるだろう。
 中村信さんもいるだろう。
 竹内伊知さんもいるだろう。
 テーブルを囲んで、ワイワイ、議論を始めたかい。
 もうすぐ、行くから、
 お茶の準備をして、僕の席を空けておいてくれ。

 2022年1月28日
 (2022年1月26日、74歳で永眠。写真は1975年9月16日、壇上に翫さん)
  ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「冷戦からの脱却を」 翫(いとう)正敏(第1次ファントム原告団 最終意見陳述)
                            (1990年『小松の空から消えてくれ』第6集)
 私たち原告団は小松基地周辺に住むものとして、静かで平和な空をとり戻すという目的のために、本件の訴訟を闘ってきたわけであります。

 この裁判において私たちが差し止めの対象としているファントムなどのジェット戦闘機は、民間機に比べると低騒音化にむけた技術改良などは一切行われていません。このことは被告国側の書面を見ても「民間機のような低騒音化のためのエンジン改良は、戦闘機にとっては致命的な性能の低下をもたらすものであるから、それはできない」と自ら述べているくらいですから、あきらかな事実であります。

 ファントムなどの戦闘機は私どもの民家の上空を飛ばないようにするということが15年来約束されているわけですが、この中島コースというものも実際は半数程度しか守られていないのが事実であります。

 そして被告国が最も強調してやまないのが住宅防音工事というものであります。サッシを取り付けてもらったり、天井の防音工事をしてもらっているわけですが、私たち基地周辺住民が毎日、四六時中その防音工事をした部屋の中で生活するわけではない以上、それほど役に立つものではないことも明らかであります。

 私たちは静かで平和な環境に回復するようこの裁判を通じて求めているのであります。私たち基地周辺住民が求めている事は騒音の規制について念書した「10・4協定」の実施であります。被告国と石川県当局、そして基地周辺の自治体当局が1975年(昭和50年)の10月4日に協定をとりかわしていまして、WECPNL値を75以下にするということが、はっきりと公約されているわけです。

 現在、私が住んでいる小松市上牧町では国の調査によっても八五以上というコンターに相当しています。裁判所におかれましては、被告に対して「10・4協定」協定の実施を義務付けていただくような判決を出していただくよう切望します。なお、協定を実施する方法についてはもちろん被告国側の決めることではありますが、私が考えるにはやはり軍事基地を廃止して民間専用空港にするという方法をとらない限り、75WECPNL以下の環境基準を実現することは不可能だと思います。

 現在の国際情勢を見てみましても、「ヤルタからマルタ」(注:1989年12月、ブッシュ大統領とゴルバチョフ書記長の米ソ首脳がマルタ島で会談し、冷戦終結を宣言した)と言われるように東西の対立構造から、対話と強調へと変化してきているわけでありまして、こうした流れからするなら、小松基地が仮想敵国としているソ連との平和友好関係を作り出すことも重要なのであります。日本海を平和な海にして国際交流の広場とするためにも、小松基地の廃止を実現すべきであると思います。

 被告国がこの裁判を通じて主張してやまないのが「防衛力というのは国家の存立や国民全体の生存に関わる極めて重要なものである」ということでありますが、こうした物の考え方というのが、実は今、世界的に批判されている冷戦の論理そのものであります。このような冷戦の論理を乗り越えていかねばならないのであります。

 日本国憲法でも「日本国民は恒久の平和を念願して人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼してわれらの安全と生存を保持しようと決意した」とうたわれているところであります。

 この憲法の理念に立っていくことこそ、我々日本国民が進む道であります。そして、これこそが世界に通用するただひとつの道だということを強く訴えて私の意見陳述といたします。

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