20240625 続6・6第7次小松基地爆音訴訟(第1回口頭弁論)傍聴記
前便では、原告意見陳述と弁護団からの①小松基地の歴史と現況、④被害実態(浜佐美町、安宅町の住民の声)、⑥差止請求(「10・4協定」)について報告したが、今回は②生活侵害の実態、③F35戦闘機配備について報告する。⑤健康被害(心身相関)、⑦損害賠償、⑧まとめ(違憲訴訟として)については次回を期す。(文責は『アジアと小松』)
②生活侵害の実態 どのような音か
(1)音質
一つは「音の高さ」である。戦闘機騒音は,人間の聴覚のもっとも感度が高いとされる高周波成分を多く含み、同じ騒音でも自動車騒音や新幹線騒音などとは一線を画する。民間航空機の騒音とも全く違う。このような感度が高い戦闘機騒音は他の騒音と比べて、より「うるさい」と感じる。しかも、戦闘機騒音は金属的音質で、とても不快なのだ。
もう一つは「音の立ち上がりの速さ」で、戦闘機の騒音は、騒音が始まってからピークに達するまであっという間なので、心や体の準備が間に合わず、無防備な状態で爆音を浴び続けることになる。
このように、感度が高く、不快で、立ち上がりの速い爆音が住民の頭上から日常的に降り注いでいる。住民は音源が現れたても、騒音から逃げようとしても逃げるところはなく、いわばノーガードの状態でただただ爆音にさらされるのである。
(2)音の大きさ,回数
騒音の大きさを図る単位としてdB(A)が用いられていて、小松市が発行している『基地と小松』に、音の大きさに関する説明があり、70dBの具体例として「電話のベル、高速走行中の自動車内、キータイプの音、セミの鳴き声」をあげている。そして70dBの音が人体に与える影響として、「血圧、心拍数が上昇する(どうき、めまい)」と説明している。
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原告団による騒音調査によると、70dBを超える騒音は、1 日最大153回測定されていて、80dB、90dB、100dBを超える音ももちろん含まれている。
『基地と小松』によると、例えば85dBになると「ほとんどの人が気持ちをイライラさせる」「疲労の原因になる」とされ、90dBは「消化不良になる」、100dBは「短時間でも一時的な難聴になる」「長時間さらされていると難聴になる」と書かれている。
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原告団による騒音調査では、調査日の半分以上で最大値100dBを超える騒音が記録されていて、難聴の原因となるといわれている100dBの騒音を,2日に1 回以上浴びていることになる。
③F35戦闘機配備
2017年6月、在沖米軍基地・嘉手納基地に、F35戦闘機2機が初飛来して以降、「暫定配備」といいながら、F22、F16とともに、F35が常駐している。普天間基地でも、岩国基地所属のF35の飛来が常態化している。
F35の騒音は、他の戦闘機と比べても、極めて大きい。嘉手納基地、普天間基地周辺地域では、F35が飛来すると、最大騒音ㇾベル110dB前後の航空機騒音が常時測定されている。普天間基地周辺の公民館では最大騒音レベル124.5dBもの異常な爆音が測定された。
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F35戦闘機の100dBを超える轟音を体験すると、うるささを超えて、身の危険や恐怖を感じる。
もう一つの特徴は、F35が自宅上空付近を通過すると、轟音の衝撃で窓ががたがたと鳴り、強風が吹いたのかと勘違いするほどである。住民は異口同音に、「F35の爆音は、お腹や身体に響く」と他の戦闘機とは異なる騒音の異常さを訴えている。このような物理的、身体的影響は、低周波成分が多いことを示唆している。
F35の爆音が、他の戦闘機と比較しても強大かつ低周波成分を含む爆音なので、住宅防音工事をしても、その爆音による睡眠妨害や生活妨害を防ぐことはできない。F35による90~110dBもの強大な騒音が発生した場合、住宅防音の目標値である20~25dBの減音効果が認められたとしても、室内には、65~90dBもの航空機騒音が侵入・到達することになる。
この室内騒音レベルは、2023年版『基地と小松』(15頁・表「騒音が人体に与える影響」)が指標とする、中途覚醒率が増えるレベル(65~70dB)、会話や通話のじゃまになるレベル(60dB)、勉強ができない・頭がさえないレベル(50~55dB)を大きく超える騒音レベルである。しかも、住宅防音工事は低周波音には効果がないとされている。
以上からすれば、F35の爆音による睡眠被害・生活被害から、住民を保護するためには、F35の飛行を禁止する以外にない。
前便では、原告意見陳述と弁護団からの①小松基地の歴史と現況、④被害実態(浜佐美町、安宅町の住民の声)、⑥差止請求(「10・4協定」)について報告したが、今回は②生活侵害の実態、③F35戦闘機配備について報告する。⑤健康被害(心身相関)、⑦損害賠償、⑧まとめ(違憲訴訟として)については次回を期す。(文責は『アジアと小松』)
②生活侵害の実態 どのような音か
(1)音質
一つは「音の高さ」である。戦闘機騒音は,人間の聴覚のもっとも感度が高いとされる高周波成分を多く含み、同じ騒音でも自動車騒音や新幹線騒音などとは一線を画する。民間航空機の騒音とも全く違う。このような感度が高い戦闘機騒音は他の騒音と比べて、より「うるさい」と感じる。しかも、戦闘機騒音は金属的音質で、とても不快なのだ。
もう一つは「音の立ち上がりの速さ」で、戦闘機の騒音は、騒音が始まってからピークに達するまであっという間なので、心や体の準備が間に合わず、無防備な状態で爆音を浴び続けることになる。
このように、感度が高く、不快で、立ち上がりの速い爆音が住民の頭上から日常的に降り注いでいる。住民は音源が現れたても、騒音から逃げようとしても逃げるところはなく、いわばノーガードの状態でただただ爆音にさらされるのである。
(2)音の大きさ,回数
騒音の大きさを図る単位としてdB(A)が用いられていて、小松市が発行している『基地と小松』に、音の大きさに関する説明があり、70dBの具体例として「電話のベル、高速走行中の自動車内、キータイプの音、セミの鳴き声」をあげている。そして70dBの音が人体に与える影響として、「血圧、心拍数が上昇する(どうき、めまい)」と説明している。

原告団による騒音調査によると、70dBを超える騒音は、1 日最大153回測定されていて、80dB、90dB、100dBを超える音ももちろん含まれている。
『基地と小松』によると、例えば85dBになると「ほとんどの人が気持ちをイライラさせる」「疲労の原因になる」とされ、90dBは「消化不良になる」、100dBは「短時間でも一時的な難聴になる」「長時間さらされていると難聴になる」と書かれている。

原告団による騒音調査では、調査日の半分以上で最大値100dBを超える騒音が記録されていて、難聴の原因となるといわれている100dBの騒音を,2日に1 回以上浴びていることになる。
③F35戦闘機配備
2017年6月、在沖米軍基地・嘉手納基地に、F35戦闘機2機が初飛来して以降、「暫定配備」といいながら、F22、F16とともに、F35が常駐している。普天間基地でも、岩国基地所属のF35の飛来が常態化している。
F35の騒音は、他の戦闘機と比べても、極めて大きい。嘉手納基地、普天間基地周辺地域では、F35が飛来すると、最大騒音ㇾベル110dB前後の航空機騒音が常時測定されている。普天間基地周辺の公民館では最大騒音レベル124.5dBもの異常な爆音が測定された。

F35戦闘機の100dBを超える轟音を体験すると、うるささを超えて、身の危険や恐怖を感じる。
もう一つの特徴は、F35が自宅上空付近を通過すると、轟音の衝撃で窓ががたがたと鳴り、強風が吹いたのかと勘違いするほどである。住民は異口同音に、「F35の爆音は、お腹や身体に響く」と他の戦闘機とは異なる騒音の異常さを訴えている。このような物理的、身体的影響は、低周波成分が多いことを示唆している。
F35の爆音が、他の戦闘機と比較しても強大かつ低周波成分を含む爆音なので、住宅防音工事をしても、その爆音による睡眠妨害や生活妨害を防ぐことはできない。F35による90~110dBもの強大な騒音が発生した場合、住宅防音の目標値である20~25dBの減音効果が認められたとしても、室内には、65~90dBもの航空機騒音が侵入・到達することになる。
この室内騒音レベルは、2023年版『基地と小松』(15頁・表「騒音が人体に与える影響」)が指標とする、中途覚醒率が増えるレベル(65~70dB)、会話や通話のじゃまになるレベル(60dB)、勉強ができない・頭がさえないレベル(50~55dB)を大きく超える騒音レベルである。しかも、住宅防音工事は低周波音には効果がないとされている。
以上からすれば、F35の爆音による睡眠被害・生活被害から、住民を保護するためには、F35の飛行を禁止する以外にない。