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20250526志賀原発訴訟第45回口頭弁論傍聴報告

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20250526志賀原発訴訟第45回口頭弁論傍聴報告

 5月26日、まだ肌寒く、長袖を着て、金沢地方裁判所にむかった。金沢城と兼六園をつなぐ陸橋の下を通り過ぎると、白鳥路公園には、もう「志賀原発廃炉」の幟旗が立っていた。
 地裁駐車場に車を止めて、白鳥路公園に向かった。開廷時間の1時間も前なのに、もう数人のメンバーが集まっている。みんなが集まるまで、手持ちぶさたなので、池の鯉にあいさつに行く。「鯉にエサを与えないで下さい」との看板があり、その理由に、「ダイエット中」と書かれていて、みんなで笑い合った。
 続々と原告・サポーターが集まり、あいさつを交わし、資料や「志賀原発廃炉」と書かれたボードを受け取り、裁判所にむかった。

 原告、被告双方の提出書類を確認し、原告の意見陳述がおこなわれ、弁護団から第59号準備書面の要約陳述がおこなわれた。
 その標題は「続・2024年能登半島地震で明らかになった耐震安全性上の問題点」で、①原発周辺の断層(特に海底活断層)について調査が不十分であること、②2024年能登半島地震クラスの地震が原発周辺で発生する相当程度の可能性があること、③敷地内活断層に関する調査、検討が不十分であること、④故障した変圧器の設計が甘すぎること、そのことは極めて重大な問題であることの4点について述べられている。
 担当弁護人は、最初に「リービッヒの最小養分の法則」(生物の成長はその生物が利用できる必須栄養素のうち最少のものに依存する)を、桶を使ってわかりやすく図示して、原発はいろんな要素で構成されているが、そのなかの最も弱い部分で壊れ、巨大事故に繋がると例示した。言い得て妙である。



 弁護人は、地震調査研究推進本部(政府の特別な機関)の報告(1)(2)を引用して、原発周辺の活断層の危険性を指摘した。
❶2024年能登半島地震の一連の地震活動は、日本でこれまでに経験したことのない事象であることから、今後の活動を見通すことは難しい状況にあり、能登半島周辺には海域活断層が数多く存在することから、能登半島では大規模地震が発生する可能性が依然としてあること。
❷今回の地震活動により、周辺では地震の発生を促進させるような影響を受けた活断層があり、M7・6の地震の地震活動域周辺には、すでに評価した海域及び陸域の活断層に加え、海底下浅部もしくは地表での痕跡は不明瞭であるが、地震を発生させるような断層も存在している可能性があること。
❸能登半島では、今後も当分の間、強い揺れが発生する可能性があり、また海底で規模の大きな地震が発生した場合、津波が起きる可能性もあること。
❹能登半島地域には複数の海域活断層があること。
❺能登半島西岸沖については、調査が不足しており、そのなかでは断層の有無を確認できていないこと(水深の浅い沿岸域にはば3~8km程度の調査側線の不足領域がある)。
参照:令和7年1月15日 地震調査研究推進本部 地震調査委員会 「令和6年能登半島地震」に関する「地震調査委員長見解」

報告集会では
 提訴以来13年が過ぎたが、その半分は空転している。何とか争点整理に入って、差し止め判決をもぎ取りたい。
 川内原発(2/21鹿児島地裁)、伊方原発(3/5広島地裁)、高浜原発(3/14名古屋地裁)で、原告敗訴が続いているが、その理由は規制委員会の結論に依拠して、「社会通念上安全」として、不当な判決を下している。
 福島原発事故後、台湾でも、ドイツでも原発から撤退しているのに、日本では、2040年までに全発電量の20%を原発に依存しようとしている。福島原発事故に、日本は学ぼうとしていない。
 志賀原発固有の弱点は①大きな地震再発の可能性、②原発事故が起きたら能登の住民は逃げられないことにあり、生きるためには絶対に勝たねばならない裁判である。
 次回は9月22日(月)午後2時~。

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