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小松基地-仮想敵部隊配備について

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小松基地-仮想敵部隊配備について

▽飛行教導群の小松移転
 商業新聞(8/5北國、8/6北陸中日)は、現在新田原基地(宮崎県)に配備されている飛行教導群(F15戦闘機10機)を2016年に小松基地に移転すると報道している。飛行教導群は戦闘機訓練時に敵機役になる部隊で、空中戦闘能力を高めるために1981年に発足し、アグレッサー(仮想敵)部隊とも呼ばれている。

 2013年12月の防衛大綱で、航空自衛隊の能力を向上させるために、訓練・演習を充実・強化することが謳われ、今回の飛行教導群の小松移転もその一環である。小松基地への移転の理由は①日本海に広大な訓練空域(G空域)があり、戦闘機戦闘訓練には最適であること、②中国、ロシア、北朝鮮にたいするスクランブル体制強化をはかること、と言われている。

 朝鮮半島に面する小松基地に先制攻撃部隊を集中し、新田原は兵站エリアにしようと考えているようだ。

▽軍事挑発によるスクランブル増
 4月16日の商業新聞各紙は航空自衛隊による2014年度のスクランブルは943回であったと大きく報道した。かつては北部航空方面隊(三沢、千歳)からのスクランブルが多かったが、2012年以降、南西航空混成団(那覇)からのスクランブルが増えている(2014年度=468回)。北部航空方面隊(千歳、三沢)は286回、中部航空方面隊(小松、百里)は102回、西部航空方面隊(築城、新田原)は87回である。

 もともと自衛隊のスクランブル対象機はロシアがほとんどであったが、ここ数年尖閣諸島(釣魚台)での海上保安庁による挑発によって、中国との緊張が高まり、沖縄周辺でのスクランブルが増加してきた。防衛省が発表した直近5年分(2010~14年)のスクランブルを合計すると、全体=3131回(年平均626)、対ロシア機=1573回(同315)、対中国機=1437回(同287)である。対北朝鮮機はごくわずかで、2009から6年間で、17回しかない。

▽小松基地のスクランブル
 小松基地からの緊急発進については十分な資料はないが、手元の資料をまとめると、1970年代は年平均37回、1980年代は同151回、1990年代は同32回、2000年代(2006年まで)は同17回である。2007年以降の8年分の数字は公表されていない。1991年ソ連崩壊前後から、小松基地からのスクランブル発進は格段に減少し、今日に至っている。

 自衛隊は北方重視から南西重視に転換してきたが、小松基地は朝鮮半島シフトをとってきた。今回の小松基地重視を推察すれば、北朝鮮に隣接するG空域で実戦さながらの訓練をおこなうことによって、北朝鮮を威圧し、プレッシャーを与えるという軍事挑発のためであろうか。

 飛行教導群を小松基地に移転することは北朝鮮との間で軍事的緊張を高め、基地周辺住民に騒音と危険を強制するものであり、安保法制もろとも阻止しよう。

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