大津市のゴミ政策から学ぶ
大津市は2008年の「一般廃棄物処理基本計画」で、2016年度から家庭系ごみの有料化を予定していたが、2015年6月の大津市廃棄物減量等推進審議会で、計画を見直し、2020年度まで白紙にすることになった。
2008年、大津市廃棄物減量等推進審議会から「家庭ごみ有料化」の答申があり、有料化の目的を「①市民をゴミ減量に誘導、②負担の公平化、③市民の関心向上、④次期焼却施設の小規模化(財政負担の軽減)、⑤自主的ゴミ減量運動の財源確保」としていた。
答申には、「市民の理解を十分に得ること」「諸団体、諸活動との一層の連携」「ゴミ有料化以外での行政努力」との但し書きがついていた。
2015年6月の大津市廃棄物減量等推進審議会に提出された「資料3家庭ごみ有料化について」では、2008年に設定した有料化の目的について、「①ゴミ減量を有料化によらずに達成した、②1人あたり20リッターを超えるゴミは直接搬入(有料)なので公平性は担保されている、③市民の意識向上を有料化によらず達成、④減量を達成し、焼却施設を3施設から2施設へ、⑤生ゴミ処理機の購入補助、集団資源回収予算の確保」として、「5つの目的は達成されたので有料化は不要」との報告がおこなわれている。
金沢市は大津市同様、有料化の目的を「①市民をゴミ減量に誘導、②負担の公平化」に置いているが、有料化によらなくても、ゴミ減量、負担の公平化を実現している大津市から学ぶべきである。とくに、事業系ゴミ処理(産廃混入、分別不充分、家庭系ごみステーションへの持ち込みなど)を適正化する余地があり、有料化によらない行政努力を必要としている。
大津市廃棄物減量等推進審議会の会議録には、廃プラスチックのリサイクルの方法には、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルがあり(注)、マテリアル→ケミカル→サーマルの順にCO2の排出は多くなるという。
サーマルリサイクルは発電→売電を目的としており、ゴミ減量化は二の次にするリサイクル方法なので、プラゴミを含めて焼却するサーマルリサイクルではゴミ減量にはつながらない。
金沢市では、発電効率を上げるために、家庭系ごみの中にプラゴミ(火力が強い)を混入させてもよいと方針変更し、家庭系ごみが増加した。普通ゴミとプラゴミの分別をあえて徹底させなければ、ゴミ量が増えるのは当たり前である。金沢市はゴミを増やしてでも、サーマルリサイクル方式を採用しているのである(2013年度、7億円以上の売電収入)。
ゴミ減量化を目的に設定するならば、紙ゴミ、プラゴミの分別・収集を徹底して、マテリアルリサイクル方式に転換すべきである。しかもCO2対策にもなるのだ。
(注)
★マテリアルリサイクルとは、製品を原料として再生利用(リサイクル)することである。同じマテリアルサイクルでも、紙から紙へのように同じものにする「水平リサイクル」と、ペットボトルから繊維の原料にするというように異なるものへ生成しなおす「アップワードリサイクル」とに大別される。
★ケミカルリサイクルには、5つの手法①油化=石油から作られたプラスチックをもう一度(石)油に戻して再利用する、②高炉原料化=製鉄所で鉄を作る過程で使う、③コークス炉化学原料化=製鉄所で鉄を作る過程で使う、④ガス化=分子のレベルまで分解し、他の物質(化合物)として利用する、⑤その他に合成ガスをエネルギーとして利用する手法もあります。
★サーマルリサイクル(熱回収)とは、廃棄物を単に焼却処理せず、焼却の際に発生する熱エネルギーを回収・利用(発電)することである。
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<資料>2015年06月02日【京都新聞】
大津市、家庭ごみ有料化を白紙に 大幅減量で見直し
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大津市廃棄物減量等推進審議会(会長・橋本征二立命館大教授)は2日、市一般廃棄物処理基本計画の見直しについて議論し、現計画で定める「家庭ごみの有料化」について、計画期間の2020年度までは白紙に戻すことを決めた。計画を上回るペースでごみが減ったため、方針転換した。来年3月に有料化見送りを含めた同計画見直しを市に答申する予定。
市内で排出される焼却ごみは近年9万8千トン前後を推移していたが、14年度に市が家庭系ごみの紙ごみ分別回収の開始や、事業系ごみで大型ごみ搬入量の制限などを実施した結果、約8万7千トンに減少。同計画の20年度目標も下回る結果となった。
このため、市側が「有料化の意義はすでに失われている」として審議会に白紙撤回を求めた。橋本会長は「有料化によらないごみ減量施策を目指すべき」とまとめた。
大津市は、11年度~20年度までの同計画に、家庭ごみの有料化を重点取組事項として盛り込み、16年度から導入する予定だった。
大津市は2008年の「一般廃棄物処理基本計画」で、2016年度から家庭系ごみの有料化を予定していたが、2015年6月の大津市廃棄物減量等推進審議会で、計画を見直し、2020年度まで白紙にすることになった。
2008年、大津市廃棄物減量等推進審議会から「家庭ごみ有料化」の答申があり、有料化の目的を「①市民をゴミ減量に誘導、②負担の公平化、③市民の関心向上、④次期焼却施設の小規模化(財政負担の軽減)、⑤自主的ゴミ減量運動の財源確保」としていた。
答申には、「市民の理解を十分に得ること」「諸団体、諸活動との一層の連携」「ゴミ有料化以外での行政努力」との但し書きがついていた。
2015年6月の大津市廃棄物減量等推進審議会に提出された「資料3家庭ごみ有料化について」では、2008年に設定した有料化の目的について、「①ゴミ減量を有料化によらずに達成した、②1人あたり20リッターを超えるゴミは直接搬入(有料)なので公平性は担保されている、③市民の意識向上を有料化によらず達成、④減量を達成し、焼却施設を3施設から2施設へ、⑤生ゴミ処理機の購入補助、集団資源回収予算の確保」として、「5つの目的は達成されたので有料化は不要」との報告がおこなわれている。
金沢市は大津市同様、有料化の目的を「①市民をゴミ減量に誘導、②負担の公平化」に置いているが、有料化によらなくても、ゴミ減量、負担の公平化を実現している大津市から学ぶべきである。とくに、事業系ゴミ処理(産廃混入、分別不充分、家庭系ごみステーションへの持ち込みなど)を適正化する余地があり、有料化によらない行政努力を必要としている。
大津市廃棄物減量等推進審議会の会議録には、廃プラスチックのリサイクルの方法には、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルがあり(注)、マテリアル→ケミカル→サーマルの順にCO2の排出は多くなるという。
サーマルリサイクルは発電→売電を目的としており、ゴミ減量化は二の次にするリサイクル方法なので、プラゴミを含めて焼却するサーマルリサイクルではゴミ減量にはつながらない。
金沢市では、発電効率を上げるために、家庭系ごみの中にプラゴミ(火力が強い)を混入させてもよいと方針変更し、家庭系ごみが増加した。普通ゴミとプラゴミの分別をあえて徹底させなければ、ゴミ量が増えるのは当たり前である。金沢市はゴミを増やしてでも、サーマルリサイクル方式を採用しているのである(2013年度、7億円以上の売電収入)。
ゴミ減量化を目的に設定するならば、紙ゴミ、プラゴミの分別・収集を徹底して、マテリアルリサイクル方式に転換すべきである。しかもCO2対策にもなるのだ。
(注)
★マテリアルリサイクルとは、製品を原料として再生利用(リサイクル)することである。同じマテリアルサイクルでも、紙から紙へのように同じものにする「水平リサイクル」と、ペットボトルから繊維の原料にするというように異なるものへ生成しなおす「アップワードリサイクル」とに大別される。
★ケミカルリサイクルには、5つの手法①油化=石油から作られたプラスチックをもう一度(石)油に戻して再利用する、②高炉原料化=製鉄所で鉄を作る過程で使う、③コークス炉化学原料化=製鉄所で鉄を作る過程で使う、④ガス化=分子のレベルまで分解し、他の物質(化合物)として利用する、⑤その他に合成ガスをエネルギーとして利用する手法もあります。
★サーマルリサイクル(熱回収)とは、廃棄物を単に焼却処理せず、焼却の際に発生する熱エネルギーを回収・利用(発電)することである。
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<資料>2015年06月02日【京都新聞】
大津市、家庭ごみ有料化を白紙に 大幅減量で見直し
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大津市廃棄物減量等推進審議会(会長・橋本征二立命館大教授)は2日、市一般廃棄物処理基本計画の見直しについて議論し、現計画で定める「家庭ごみの有料化」について、計画期間の2020年度までは白紙に戻すことを決めた。計画を上回るペースでごみが減ったため、方針転換した。来年3月に有料化見送りを含めた同計画見直しを市に答申する予定。
市内で排出される焼却ごみは近年9万8千トン前後を推移していたが、14年度に市が家庭系ごみの紙ごみ分別回収の開始や、事業系ごみで大型ごみ搬入量の制限などを実施した結果、約8万7千トンに減少。同計画の20年度目標も下回る結果となった。
このため、市側が「有料化の意義はすでに失われている」として審議会に白紙撤回を求めた。橋本会長は「有料化によらないごみ減量施策を目指すべき」とまとめた。
大津市は、11年度~20年度までの同計画に、家庭ごみの有料化を重点取組事項として盛り込み、16年度から導入する予定だった。