「いとっしゃなぁ」―北朝鮮木造漁船の漂着について
最近、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の木造漁船の残骸が、石川県の海岸に相次いで漂着している。新聞記事(『北陸中日新聞』)から拾ってみると、12月23日かほく市木津海岸/12月22日輪島市袖ヶ浜海岸/12月21日志賀町千ノ浦海岸/12月20日珠洲市鰐崎海岸/6月21日志賀町千ノ浦海岸。
過去の漂着船のデータを新聞記事で見ると、2013~2016年は年間45~80件/2017年=年間104件/2018年=年間121件以上/2019年10月~冬季=半年間141件/2020年10月~冬季=半年間13件。
2021年2月12日の「朝日新聞」は、木造漁船とともに漂着した遺体は、2017年=35体/2018年=14体、2019年=5体と伝えている。
私の母なら、漂着した漁船を見て、最初に「いとっしゃなぁ」とつぶやくだろう。この言葉は自分よりも弱いものにたいする労りの気持ちをあらわしている。
10メートル前後の粗末な船で冬の海に漕ぎ出して、荒波を受けて、冷たい海に投げ出されて、亡くなったであろう乗組員とその家族のことを思わずにはいられない。
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Jアラート
しかし、日本の政治家は情ないほど冷たい。谷本石川県知事はミサイル試射問題で、「北朝鮮国民を餓死させねばならない」と発言し(2017/6/22『北陸中日新聞』)、日本(国民)を守るためならばと、北朝鮮人民の命にひとかけらの情も持っていない。また最初に北朝鮮漁船の取り締まりを要求(水産庁に)したのは、なんと日本共産党であった(2017/8/9同紙)ことも忘れてはならない。
マスコミも同列である。これらの漁船漂着記事には必ず「付近で不審な人物は見つからなかった」というフレーズがついている。漁船がバラバラになって漂着しているのに、その漁民の安否には関心もなく、漁民が生きて上陸しなかったことを喜んでいるようではないか。「不審人物上陸!」のフェイクニュースを流すかのように、警戒アラートを発信し、排外主義を煽っているのである。
奇しくも、12月23日、羽咋市は「当地域にミサイル発射の情報が発信されました。屋内に避難し、テレビ・ラジオの情報に注意してください」と、Jアラート(全国瞬時警報システム)を発信した。誤報とはいえ、政府も自治体も、いまにも上陸・侵略されるかのように身構え、大和堆でのイカ不漁問題はそのための格好の資材として使われ、国民に危機感と排外主義を植え付けている。
イカ不漁の原因
しかし、イカ不漁の原因を外国漁船にだけ求めることは間違っている。「資源量自体は減少傾向」(2021/8/17同紙)、「日本海のスルメイカの来遊状況が変化」(2021/8/15同紙)、「(イカの)来遊や分布量が低調」(2021/8/3同紙)、「イカの回遊状況が変わり、…分布量が減少」(2021/7/16同紙)、「(イカの)幼生は漁期までに捕食されてる」(2021/3/3)などと報道されているように、イカの分布は海流、海水温など自然状況に大きく左右されているのである。
イカ漁の漁民はイカ漁場を確保するために、水産庁や海上保安庁に外国漁船への武力行使を要求し(2021/8/27同紙)、漁民の要求を奇貨として海上保安庁は無人機を導入することに成功した(2021/12/25同紙)。
私たちは、政府やマスメディアに警戒心を持って接しなければならない。
最近、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の木造漁船の残骸が、石川県の海岸に相次いで漂着している。新聞記事(『北陸中日新聞』)から拾ってみると、12月23日かほく市木津海岸/12月22日輪島市袖ヶ浜海岸/12月21日志賀町千ノ浦海岸/12月20日珠洲市鰐崎海岸/6月21日志賀町千ノ浦海岸。
過去の漂着船のデータを新聞記事で見ると、2013~2016年は年間45~80件/2017年=年間104件/2018年=年間121件以上/2019年10月~冬季=半年間141件/2020年10月~冬季=半年間13件。
2021年2月12日の「朝日新聞」は、木造漁船とともに漂着した遺体は、2017年=35体/2018年=14体、2019年=5体と伝えている。
私の母なら、漂着した漁船を見て、最初に「いとっしゃなぁ」とつぶやくだろう。この言葉は自分よりも弱いものにたいする労りの気持ちをあらわしている。
10メートル前後の粗末な船で冬の海に漕ぎ出して、荒波を受けて、冷たい海に投げ出されて、亡くなったであろう乗組員とその家族のことを思わずにはいられない。


Jアラート
しかし、日本の政治家は情ないほど冷たい。谷本石川県知事はミサイル試射問題で、「北朝鮮国民を餓死させねばならない」と発言し(2017/6/22『北陸中日新聞』)、日本(国民)を守るためならばと、北朝鮮人民の命にひとかけらの情も持っていない。また最初に北朝鮮漁船の取り締まりを要求(水産庁に)したのは、なんと日本共産党であった(2017/8/9同紙)ことも忘れてはならない。
マスコミも同列である。これらの漁船漂着記事には必ず「付近で不審な人物は見つからなかった」というフレーズがついている。漁船がバラバラになって漂着しているのに、その漁民の安否には関心もなく、漁民が生きて上陸しなかったことを喜んでいるようではないか。「不審人物上陸!」のフェイクニュースを流すかのように、警戒アラートを発信し、排外主義を煽っているのである。
奇しくも、12月23日、羽咋市は「当地域にミサイル発射の情報が発信されました。屋内に避難し、テレビ・ラジオの情報に注意してください」と、Jアラート(全国瞬時警報システム)を発信した。誤報とはいえ、政府も自治体も、いまにも上陸・侵略されるかのように身構え、大和堆でのイカ不漁問題はそのための格好の資材として使われ、国民に危機感と排外主義を植え付けている。
イカ不漁の原因
しかし、イカ不漁の原因を外国漁船にだけ求めることは間違っている。「資源量自体は減少傾向」(2021/8/17同紙)、「日本海のスルメイカの来遊状況が変化」(2021/8/15同紙)、「(イカの)来遊や分布量が低調」(2021/8/3同紙)、「イカの回遊状況が変わり、…分布量が減少」(2021/7/16同紙)、「(イカの)幼生は漁期までに捕食されてる」(2021/3/3)などと報道されているように、イカの分布は海流、海水温など自然状況に大きく左右されているのである。
イカ漁の漁民はイカ漁場を確保するために、水産庁や海上保安庁に外国漁船への武力行使を要求し(2021/8/27同紙)、漁民の要求を奇貨として海上保安庁は無人機を導入することに成功した(2021/12/25同紙)。
私たちは、政府やマスメディアに警戒心を持って接しなければならない。