地球史上のCO2濃度についての整理
地球温暖化の原因に大気中のCO2濃度が関係しているということで、それではと、46億年前に生まれた地球の歴史を読むことにした。私の理解は限定的であり、別記の諸資料をお読みいただければ幸いである。【参考資料:『最新地球史がよくわかる本』(2009年、川上紳一)、『地球大進化』2、4、5(2004年NHK)、「ウィキペディア」、グラフはネット上の画像を拝借した】
地球誕生
地球は46億年前に誕生し、40億年前に原始生命が誕生したと考えられている。38億年前に真正細菌(バクテリア)と古細菌(アーキア)が出現し、32億年前に光合成生物・シアノバクテリア(ラン藻)が生まれ、27億年前に大量発生し、酸素の供給量が増加し、CO2が減少し始めた(『最新地球史がよくわかる本』、『地球大進化2』)。
第1全球凍結とその後
24~22億年(全球凍結)以前は、メタン生成菌(H2ガスをCO2で酸化してメタンを生成する)によるメタンが地球を覆っていて、温室効果をもたらしていたが、シアノバクテリアが放出するO2とメタンが結合して、その結果大気中のメタンが消滅し、地球の気温が低下し、全球凍結(24~22億年前)に至った。
全球凍結下でも地球の火山活動で、CO2を大気中に放出しつづけ、現在の200~1500倍の濃度に高まった。その結果、温室効果によって気温が上昇し(50℃)、氷が溶けていった。気温が上がり、海水温が上がり、水蒸気が大量に発生し、巨大ハリケーンが発生し、海は時化・撹拌され、海底のミネラル分が浮上し、光合成生物が大量のO2を発生させることになる(シアノバクテリアは全球凍結下でも、火山噴火でできた温泉でかろうじて生きのびたようだ)。
21億年前、ミトコンドリア、葉緑体などと共生する真核生物(大型で形態的に多様性に富む)が出現した。10億年前までには、O2濃度は現代の100分の1程度のレベルに増加した。その後、多細胞生物が出現したと考えられている。
第2全球凍結後
6億年前の2回目の全球凍結も1回目と同様の経過をたどり、解氷後のCO2濃度は現代の20倍程度、O2濃度は20%程度になり、生物が大型化していく。光合成によりCO2が減少し、O2濃度が増える(3億6000万年前=温暖期)。温室効果が減退し、寒冷化に向かう。
3億年前、CO2濃度が現代の程度まで低下し、O2濃度が最高の35%となり、寒冷化した。白色腐朽菌(木質素を分解する)が登場し、O2濃度が減少に向い、CO2濃度は増加に向かう。2億5000万年前、海底のメタンハイドレートが大量に気化し、メタン濃度が高まり、温室化した。
5回の生物種絶滅
地球上に生命が発生した後、5回の生物種絶滅の危機が訪れた。なかでも2・5億年前のPT(ペルム紀と三畳紀の端境)期の絶滅は深刻で、地球上の90%以上の生物種が絶滅したと言われている。
その原因は隕石の衝突だった。地球規模の森林火災が起こり→太陽光線が遮断され、酸性雨が降り→気温が低下し、寒冷期になり→植物は光合成ができなくなり、枯死し→動物は餓死した。
このときの森林火災は大量のCO2を排出し、温室効果をもたらし、数十万年間の温暖期を迎えた。6500万年前の巨大隕石の衝突によっても、何千年もの間太陽光は遮断され、恐竜などの大型動物が絶滅し、その結果、哺乳類繁殖のチャンスが訪れ、霊長類の祖先と言われるプレシアダピス(げっ歯類)が繁殖した(3500万年前に絶滅)。5500万年前ごろにメタンハイドレートの崩壊による急激な温暖化(10~20℃上昇)が始まり(そのメタンは数万年以上の時間をかけて減少【『最新地球史がよくわかる本』】)、4500万年前には真猿類が生まれ、ヒトへとつながっていく。そして、600万年前に人類の先祖の誕生を迎えるのである。【『地球大進化』4、5】
人類の出現後のCO2
人類の歴史を見ると、600万年前にサヘラントロプス・チャデンシスが生まれ、200万年前に原人(ホモ・エレクトス)、30万年前に新人(ホモ・サピエンス)に進化し、現代人につながっている。
少なくとも現代から遡って80万年間のCO2濃度は170~280PPMで安定し【 アメリカ海洋大気庁】、産業革命(18世紀)までは280PPM(PPM=100万分の1)を越えることがなかった【資料3、4:NHK高校講座】のに、たかだかその後の200年間にその濃度を100PPMも上昇させ、今や415PPMに達し、とどまる様子が見られない。(下記グラフ: アメリカ海洋大気庁)
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もちろん46億年の地球の歴史には、第1全球凍結時のCO2濃度は現代の200~1500倍もあり、第2全球凍結後にも現代の20倍程度になったこともあるので、地球史的に考えれば400PPM程度に驚くことはないが、極めて短期間のCO2濃度の上昇は、生命体の適応能力を超える変化なのではないだろうか。
未来の地球
地球の歴史から見ると、未来の地球をどう描けるのか。
川上紳一さんによれば、化石燃料の消費によって大気中のCO2濃度が増えれば、今後数千年にわたって温暖な気候がつづく。しかし、地球史的には1万年後には、氷床が発達した氷期がやってくる。そして氷期と間氷期を繰り返しながら地球は寒冷化に向かう。数億年先には地球はさらに冷えていき、火星のようになっていく。さらに、太陽は赤色巨星へと進み、水星、金星、地球は太陽に呑み込まれ、地球は蒸発するだろう(40億年先のこと)。
1万年単位で地球史を見れば、産業革命以後の200年のCO2濃度は垂直に上昇している【資料3:NHK高校講座】。それは2万年間で上昇した分にあたるのである。(左グラフ:2万年間のCO2濃度、右グラフ:産業革命後のCO2濃度)
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私たちの課題
その原因は何か? 利潤追求を第1に考え、化石燃料を無制限に消費してきた資本主義的再生産にあり、この社会体制が続く限り、CO2排出量を抜本的に削減することは不可能だろう。
まずは、資本主義が荒らした地球環境を回復させながら、何よりも資本主義を打倒しなければならない。資本主義打倒を措定しない環境保護運動は資本主義のための運動であり、自己矛盾を来す。
川上紳一さんが言うように、地球が蒸発する時が必ず来るとしても、それまではまだ人間を含めた生物は生き続けるのであり、「あす地球が滅びようとも、私はリンゴの木を植えよう」(ルター)の精神で、生きていきたいと思う。
地球温暖化の原因に大気中のCO2濃度が関係しているということで、それではと、46億年前に生まれた地球の歴史を読むことにした。私の理解は限定的であり、別記の諸資料をお読みいただければ幸いである。【参考資料:『最新地球史がよくわかる本』(2009年、川上紳一)、『地球大進化』2、4、5(2004年NHK)、「ウィキペディア」、グラフはネット上の画像を拝借した】
地球誕生
地球は46億年前に誕生し、40億年前に原始生命が誕生したと考えられている。38億年前に真正細菌(バクテリア)と古細菌(アーキア)が出現し、32億年前に光合成生物・シアノバクテリア(ラン藻)が生まれ、27億年前に大量発生し、酸素の供給量が増加し、CO2が減少し始めた(『最新地球史がよくわかる本』、『地球大進化2』)。
第1全球凍結とその後
24~22億年(全球凍結)以前は、メタン生成菌(H2ガスをCO2で酸化してメタンを生成する)によるメタンが地球を覆っていて、温室効果をもたらしていたが、シアノバクテリアが放出するO2とメタンが結合して、その結果大気中のメタンが消滅し、地球の気温が低下し、全球凍結(24~22億年前)に至った。
全球凍結下でも地球の火山活動で、CO2を大気中に放出しつづけ、現在の200~1500倍の濃度に高まった。その結果、温室効果によって気温が上昇し(50℃)、氷が溶けていった。気温が上がり、海水温が上がり、水蒸気が大量に発生し、巨大ハリケーンが発生し、海は時化・撹拌され、海底のミネラル分が浮上し、光合成生物が大量のO2を発生させることになる(シアノバクテリアは全球凍結下でも、火山噴火でできた温泉でかろうじて生きのびたようだ)。
21億年前、ミトコンドリア、葉緑体などと共生する真核生物(大型で形態的に多様性に富む)が出現した。10億年前までには、O2濃度は現代の100分の1程度のレベルに増加した。その後、多細胞生物が出現したと考えられている。
第2全球凍結後
6億年前の2回目の全球凍結も1回目と同様の経過をたどり、解氷後のCO2濃度は現代の20倍程度、O2濃度は20%程度になり、生物が大型化していく。光合成によりCO2が減少し、O2濃度が増える(3億6000万年前=温暖期)。温室効果が減退し、寒冷化に向かう。
3億年前、CO2濃度が現代の程度まで低下し、O2濃度が最高の35%となり、寒冷化した。白色腐朽菌(木質素を分解する)が登場し、O2濃度が減少に向い、CO2濃度は増加に向かう。2億5000万年前、海底のメタンハイドレートが大量に気化し、メタン濃度が高まり、温室化した。
5回の生物種絶滅
地球上に生命が発生した後、5回の生物種絶滅の危機が訪れた。なかでも2・5億年前のPT(ペルム紀と三畳紀の端境)期の絶滅は深刻で、地球上の90%以上の生物種が絶滅したと言われている。
その原因は隕石の衝突だった。地球規模の森林火災が起こり→太陽光線が遮断され、酸性雨が降り→気温が低下し、寒冷期になり→植物は光合成ができなくなり、枯死し→動物は餓死した。
このときの森林火災は大量のCO2を排出し、温室効果をもたらし、数十万年間の温暖期を迎えた。6500万年前の巨大隕石の衝突によっても、何千年もの間太陽光は遮断され、恐竜などの大型動物が絶滅し、その結果、哺乳類繁殖のチャンスが訪れ、霊長類の祖先と言われるプレシアダピス(げっ歯類)が繁殖した(3500万年前に絶滅)。5500万年前ごろにメタンハイドレートの崩壊による急激な温暖化(10~20℃上昇)が始まり(そのメタンは数万年以上の時間をかけて減少【『最新地球史がよくわかる本』】)、4500万年前には真猿類が生まれ、ヒトへとつながっていく。そして、600万年前に人類の先祖の誕生を迎えるのである。【『地球大進化』4、5】
人類の出現後のCO2
人類の歴史を見ると、600万年前にサヘラントロプス・チャデンシスが生まれ、200万年前に原人(ホモ・エレクトス)、30万年前に新人(ホモ・サピエンス)に進化し、現代人につながっている。
少なくとも現代から遡って80万年間のCO2濃度は170~280PPMで安定し【 アメリカ海洋大気庁】、産業革命(18世紀)までは280PPM(PPM=100万分の1)を越えることがなかった【資料3、4:NHK高校講座】のに、たかだかその後の200年間にその濃度を100PPMも上昇させ、今や415PPMに達し、とどまる様子が見られない。(下記グラフ: アメリカ海洋大気庁)

もちろん46億年の地球の歴史には、第1全球凍結時のCO2濃度は現代の200~1500倍もあり、第2全球凍結後にも現代の20倍程度になったこともあるので、地球史的に考えれば400PPM程度に驚くことはないが、極めて短期間のCO2濃度の上昇は、生命体の適応能力を超える変化なのではないだろうか。
未来の地球
地球の歴史から見ると、未来の地球をどう描けるのか。
川上紳一さんによれば、化石燃料の消費によって大気中のCO2濃度が増えれば、今後数千年にわたって温暖な気候がつづく。しかし、地球史的には1万年後には、氷床が発達した氷期がやってくる。そして氷期と間氷期を繰り返しながら地球は寒冷化に向かう。数億年先には地球はさらに冷えていき、火星のようになっていく。さらに、太陽は赤色巨星へと進み、水星、金星、地球は太陽に呑み込まれ、地球は蒸発するだろう(40億年先のこと)。
1万年単位で地球史を見れば、産業革命以後の200年のCO2濃度は垂直に上昇している【資料3:NHK高校講座】。それは2万年間で上昇した分にあたるのである。(左グラフ:2万年間のCO2濃度、右グラフ:産業革命後のCO2濃度)


私たちの課題
その原因は何か? 利潤追求を第1に考え、化石燃料を無制限に消費してきた資本主義的再生産にあり、この社会体制が続く限り、CO2排出量を抜本的に削減することは不可能だろう。
まずは、資本主義が荒らした地球環境を回復させながら、何よりも資本主義を打倒しなければならない。資本主義打倒を措定しない環境保護運動は資本主義のための運動であり、自己矛盾を来す。
川上紳一さんが言うように、地球が蒸発する時が必ず来るとしても、それまではまだ人間を含めた生物は生き続けるのであり、「あす地球が滅びようとも、私はリンゴの木を植えよう」(ルター)の精神で、生きていきたいと思う。