Quantcast
Channel: アジアと小松
Viewing all articles
Browse latest Browse all 919

20230616 小松基地第2滑走路(A)案と要移転施設

$
0
0
20230616 小松基地第2滑走路(A)案と要移転施設

 5月4日の「小松基地第2滑走路建設を阻止しよう(修正)」の投稿と重複する面があるが、非常に重要な問題であり、敢えて再投稿した。

360億円もかかる理由
 第2滑走路A案の場合は、360~370億円の予算が必要であるという<資料9頁>。2006年の本滑走路かさ上げでは、「仮滑走路=36億円、本滑走路=30億円」と公表されているのに、その10倍もかかることについて、空港企画課に尋ねると、図中の無線施設、ヘリ格納庫、貨物上屋、ターミナルビルなどの移転費用を含むという回答だった。(「建物(ターミナルビル)は…ただちに更新する必要がある状況にはない」<資料16頁>)

A滑走路を作っても、たったの1.2倍
 滑走路の2本化(A滑走路+本滑走路)によって、処理能力は1.2倍(以下)になるという<資料5頁>。たかだか処理能力を10%程度UPするために、県民からかき集めた税金360億円を消費するというのか。しかも、その恩恵は県民(特に低所得者層)に普遍的に還元されることはなく、一部の資本(富裕層)に還元されるのみだ。

滑走路増設の基準
 国土交通省航空局の「一般空港における新たな空港整備プロセスのあり方」<資料14頁>によれば、「(事業の必要性/整備目的ごとの評価項目と評価の基準)現状において滑走路1本の年間発着回数が10万回を超えているとともに、ピーク時間の離発着回数が30回程度に至っていること」とされている。小松基地(空港)では、2015~18年の4年分の年平均管制回数は3万7037回であり(離着陸回数はこれよりも少ない)、国の評価基準には到底及ばない。

2050年の離着陸回数は
 では、2050年に、どれだけの需要増加が見込まれているのか。石川県の試算では、国内線・国際線の便数は<2018年=21便(42離着陸)/日→2050年=28便(56離着陸)/日>と予測している。民航のみを見れば、33%も増えるのか、ということになるが、自衛隊機を含めた全体の離着陸回数をみなければならないのだ。自衛隊は離着陸回数を公表していないので、民航と自衛隊機に共通する管制回数<離発着+通過>で比較することにする。
 2015~18年の4年分の年間平均管制回数は3万7037回であり、1日当り102回となる(自機=49回/日、民航=53回/日)。しかし自衛隊機は土・日・祭・年末年始・盆には訓練をしないので、実際の訓練日数は230日程度であり、78回/日となり、平日の自機+民航の合計管制回数は78+53=131回(/日)程度になる。
 2050年には、いったい自機+民航の1日当り離着陸数はどれだけ増加するのか? 空港企画課は<2018年=21便(42離着陸)/日→2050年=28便(56離着陸)/日>と予測しており、わずかに14回(/日)の離着陸が増えるだけなのだ。2050年の自衛隊機の訓練回数を現状通りとすれば、131回+14回=155回(離着陸/日)となり、11%増となる。

無駄な投資
 また、「事業の効果 ① 費用対効果 ・費用便益分析等の評価結果が妥当な範囲であること」<資料14頁>と、記されているが、360億円の投資に見合う効果に疑問を呈している委員もいたのではないだろうか。検討委員会(4月27日)から、すでに1カ月半を過ぎても、議事録が公表されていないのは、発言内容の「微調整」でもやっているのではないかと、邪推したくなる。
 A滑走路案(210m北側)では、「同時着陸×、同時離陸×、同時離着陸×」<資料3頁>であり、現在埋め込まれている仮滑走路(100m北側)とどれほどの違いがあるのだろうか。仮滑走路を民航専用滑走路として使えば、360億円の無駄な投資はなくなり、市民生活の扶助に使うことができるのだ。(小松基地は、仮滑走路を解体せず、いつでも滑走路として使用できるように、定期的に点検・管理している)

第2滑走路建設の本質的狙い
 小松基地の第2滑走路問題の本質は、民航必要論ではなく、朝鮮半島を焦点にした侵略戦争体制をいかに構築するか、それをストレートに提案するのではなく、「国際空港化」という民需論で煙に巻いてやろうとしていることである。上記に見たように「民航必要論」は破産と矛盾に満ちており、やがてはストレートに提起してくるだろう。その時にこそ、私たちの立場が問われてくるだろう。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 919

Trending Articles