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北陸新幹線について考える

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北陸新幹線問題

 北陸新幹線(長野金沢間)の2015年開業が決まり、金沢敦賀間は2025年開業の予定とされています。敦賀まではフル規格(軌間1435mm)で、敦賀以遠は在来線の軌道(軌間1076mm)を使うフリーゲージトレイン(軌間可変電車)です。
 2015年全国植樹祭(小松市木場潟公園)と北陸新幹線開業が重なるので、北陸新幹線について整理しておきます。

 帝国主義にとって、道路、鉄道、港湾、空港などは資源を略奪し資本を増殖するためのインフラです。交通網は平和時においては交易(収奪・略奪)のために使用されますが、戦時には軍事輸送の動脈に変身します。アジア諸国を侵略した西欧諸国は真っ先に鉄道を敷き、一足遅れて列強入りした日本も、同じように南満州鉄道などを敷設しました。

 現代の戦争が航空機やミサイルを中心とした戦争形態に発展しており、朝鮮半島の戦争的危機に対して、日本列島を朝鮮侵略戦争のための軍事的拠点へと転換してきました(ソ連崩壊後は北方重視から南西重視へ)。それ故、列島各地に点在する自衛隊基地を効果的に南西地域で使用できるように交通網(道路、鉄道、港湾、空港)を整備しています。

 北陸新幹線に関しては、「東海道新幹線の代替機能という国家安全保障の役割を果たすことになる」(1988.5.23)という原谷敬吾(元北陸経済連合会会長)の発言を思い起こすべきです。原谷発言は北陸新幹線の整備が経済目的に加えて、戦時輸送体制の確立をも視野に入れていることを示しています。

 新幹線の軍事輸送を考えると、2009年に開発された10式戦車は総重量44トンで、90式戦車より6トン軽量化され、国道の橋梁通過率は50%台から84%になりました。また、10式戦車の車幅も3.24m(90式戦車3.40m)で、在来線の貨物列車(幅2.7m)では輸送はできませんが、新幹線(車幅3.38m)での輸送を可能にさせました。
 北海道に配備された10式戦車は南西有事には千歳から鹿児島まで新幹線で輸送し、鹿児島港からは大型フェリーで南西諸島に海上輸送することができます。戦車を小型化し、新幹線を縦横に建設することによって、防衛新大綱の動的防衛力に対応させようとしているのです。

鉄道による戦車輸送は始まっている
 2011年10月から12月にかけておこなわれた陸上自衛隊第7師団の「協同転地演習」で、73式戦車(全長5.8m、全幅2.9m、13.3t)が札幌市から大分市まで鉄道輸送されました(第7師団が協同転地演習を行うのは、今回が初めて)。防衛省関係者も「軍事上、複数ルートによる装備の大量輸送力は極めて重要」「22大綱が示す動的防衛力の構築に向けた重要な取り組み」と言っています。

 
(左は2011年度協同転地演習 右は2012年度協同転地演習 写真はインターネット上の画像から無断使用しました)

 新幹線の前身は「弾丸列車計画」で、東京~下関~海峡トンネル~釜山~長春~北京を結ぶ長大な高速・大量軍事輸送計画でした。しかし戦争の激化によって建設が中断しましたが、戦後、弾丸列車計画で買収した用地をそのまま使って東海道新幹線が作られました。(見出しの画像は弾丸列車計画)

 そして、東海道新幹線の当初計画には貨物輸送も含まれており、今でも「トレイン・オン・トレイン」方式による新幹線貨物輸送が模索されています。北陸新幹線は東京に早く行けるだけではなく、その裏には軍事的目的も隠されているのです。(交通科学博物館HP、防衛省HPなどを参照しました)

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