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<第6集1982.9>小松基地と日本海上空の 日米共同演習反対

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<第6集1982.9>
小松基地と日本海上空の 日米共同演習反対

(1)はじめに
 去る8月23日、名古屋防衛施設局は「日米共同演習のために、小松基地と輪島レーダーサイトを使用する」と通告してきた。それは今年10月を第1回目とし、毎年4回、4週間程度(各回約1週間)で、日本海上空の「G空域」を使用し、戦闘爆撃機による実戦訓練をおこなうというものである。米軍の参加人員は小松基地に150人、輪島レーダーサイトにはオペレーター5人、参加戦闘機は約10機(F15いーぐる、A4スカイホーク、F4EJファントム)である。

 怒りなしにこの事態を語ることができるだろうか。航空自衛隊が共同して演習をおこなう米空軍とは一体どんな軍隊か。第2次世界大戦は言うにおよばず、戦後一貫して全世界に戦争をまき散らしてきた軍隊ではないか。朝鮮戦争、ベトナム戦争には数10万の米軍が直接乗り込み、自らの手を血に染めている。最近ではイラン革命圧殺のために米軍は直接砂漠に降り立った。それが失敗するやイラクをしてイランに攻め込ませている。またイスラエルによるパレスチナ人民への大虐殺の背後には、アメリカが糸を引いている。

 このように米軍とは半世紀の間、一時たりとも侵略戦争を中断したことがなく、全世界人民とりわけ後進国・植民地人民の怨嗟の的である。

 こともあろうに、航空自衛隊が小松基地と日本海上空で、この憎むべき米軍と共同演習をしようというのだ。そこで学ぶことは植民地・後進国人民への侵略と虐殺のテクニック以外の何ものでもない。

 日本帝国主義の教科書改悪、侵略の居直りにたいして、朝鮮・中国・アジア諸国人民が反日闘争として決起している矢先、日米合同演習の発表はまさに砲艦外交的軍事恫喝以外の何ものでもない。朝鮮・アジア人民の侵略反対のたたかいには、日本帝国主義は軍事を以て応えると表明したのである。

 このような日米共同演習にたいして、私たちはたたかいもせず、屈服していてよいものだろうか。否!百度も否!

(2)米軍へのキャッチアップ狙う日米共同演習
 ①激動する内外情勢
 第2次大戦後、アメリカの経済力と軍事力によって出発した戦後体制も、いまやガラガラと崩れはじめている。世界支配の盟主としてのアメリカ自身が後戻りのできない経済的・政治的危機に直面し、そのツケを他帝国主義と植民地諸国に押しつけようとしている。アメリカの失業率は戦後最高の9.8%(1080万人)に達し、さらに上昇しつつある。レーガンは危機乗り切りのために史上空前の大軍拡を強行し、他帝国主義をも巻き込みながら世界支配の暴力的再編に乗り出した。

 他方、日本帝国主義は米・西欧帝国主義との経済争闘戦の真っただ中にあって、独自の経済圏形成に着手し、そのための軍事大国化に向かって、闇雲に突きすすんでいる。日本帝国主義は帝国主義である限り、侵略戦争は不可避であり、日帝政府は戦後30数年の軍事的無準備にピリオドを打たんとしているのだ。その最大のメルクマールが憲法改悪、五六中業、教科書改悪、靖国、刑事二法などである。

 ②軍事的飛躍=五六中業
 日本帝国主義は世界の激動化に対応して、1983年度から87年度までの5年間で、文字通り世界に有数の軍事大国になろうとしていることが、五六中業に示されている。

 ひとつは防衛費の1%枠の突破であり、もうひとつは戦力増強の内容が専守防衛の枠をこえ、陸上自衛隊は大陸型侵略軍へ、海上自衛隊は外洋型海軍へ、航空自衛隊は前方展開型へと、つまり本格的な侵略軍隊への転換が図られている。

 8月10日付け「読売新聞」によれば、「(ソ連からの侵攻があれば)現在の戦力では24日間で自衛隊の組織だった抗戦が止むのにたいし、五六中業で新しく付与される能力の下では同じ24日を経ても、自衛隊の組織的抵抗は継続し、逆に侵攻側の進出能力が失われ、持久戦の状態になる」という。

 ③キャッチアップのための共同演習
 自衛隊が日米共同演習に賭けているものは何であろうか。五六中業の達成によって自衛隊は装備の面で確実に侵略可能な軍隊に生まれつつある。しかし装備だけでは役に立たないのである。自衛隊は戦後30数年間いちども実戦経験を持たない軍隊である。実戦経験ゼロの将校・兵士によって構成された軍隊は、いかに装備が立派でも、何の役にも立たない。

 逆に米軍こそ、この半世紀間、日々戦いぬいてきた軍隊である。自衛隊は「侵略の軍隊」に「侵略の魂」を吹き込むために、世界一実戦経験豊かな米軍との共同演習を度重ね、米軍の水準にまでキャッチアップし、本格的な侵略軍隊へと飛躍しようとしているのだ。

 私たちはどうしてこのような蛮行に協力できようか。自衛隊の侵略軍隊(かつての皇軍)への蘇生をどうして黙視できようか。

 ④深まりゆく日米共同演習
 自衛隊はすでに数年前から米軍へのキャッチアップをめざして共同演習をおこなってきている。その実態はどうであろうか。

 [Ⅰ]航空自衛隊
 1978年以来40回以上の日米共同演習がおこなわれてきた。年を追うごとに頻繁大型化してきており、81年度には13回、那覇・嘉手納(5回)、三沢(4回)、新田原(2回)、築城・岩国(各1回)の各基地が使用されている。総参加機数は前年度の二倍で、670ソーティ(出撃数)である。小松基地の第6航空団は合計4回参加している。

 去る8月31日、航空自衛隊は九州方面空域で米核戦力の中心といわれるB52戦略爆撃機とはじめての共同演習をおこない、追い打ちをかけるように「今後毎月1回はおこなう」と発表した。B52とは大陸間弾道弾(ICBM)、潜水艦発射弾道弾(SLBM)と並ぶ戦略核攻撃用兵器であり、これとの共同演習は単なる実戦訓練に加えて、核攻撃訓練となり、明らかなエスカレートである。

 [Ⅱ]海上自衛隊
 1980年と今年3月の2回、リムパックに参加。リムパックとはアメリカ、オーストラリア、カナダ、ニュージランド、日本による環太平洋合同演習である。今回は艦艇60隻、航空機120機以上、海兵隊6000人を含む29000人が参加するきわめて大規模なものである。

 8月11~15日、21~25日の2回、能登沖日本海で米軍攻撃用核空母ミッドウェー、世界最大の強襲揚陸艦ペリリューンを含む米第7艦隊との共同演習がおこなわれた。それは昨年5月米原子力ミサイル巡洋艦ベインブリッジなどが漁船のはえ縄を切断するという事件を引き起こした日本海演習の2回目である。ミッドウェー、ペリリューン参加による日米共同演習とはまさに朝鮮有事―上陸を想定したものであり、断じて許すことはできない。
 また、9月13~20日まで、シーレーン防衛を口実とした日米共同演習も強行されている。

 [Ⅲ]陸上自衛隊
 昨年10月、陸上自衛隊始まって以来はじめての日米共同演習がもたれた。東富士演習場で、共同通信訓練としておこなわれ、次いで今年9月10日北海道千歳演習場を中心として第2回目がおこなわれた。

 それ以降、堰を切ったように陸上自衛隊の日米共同演習がおこなわれている。今年2月、富士山麓東富士演習場内の滝ヶ原駐屯地で、自衛隊1000人、米陸軍500人による指揮所演習(図上演習)=ヤマザクラⅠ、さらに6月ハワイでヤマザクラⅡ、そして12月には北海道でヤマザクラⅢが予定されている。

 そしてついに11月、東富士演習場で日米両陸軍によるはじめての実動演習が強行されようとしているのだ。

 そもそも陸上自衛隊と米陸軍との共同演習は他の海・空における共同演習とまったく質的に異なった内容をもっている。陸上自衛隊が実戦可能になるということは本格的な侵略の軍隊になるということを意味する。侵略戦争の要は「地上制圧」にあり、それは陸軍の任務・分野である。この分野をめぐって、朝鮮・ベトナム・中東で血染めになってきた米軍にキャッチアップしようと、いよいよ陸上自衛隊が動き出したということである。私たちはこの事態を重大な危機感をもって受けとめねばならない。

 戦前の皇軍は侵略の軍隊なるがゆえに、三光政策という暴虐によってしか地上制圧ができなかった。今日の自衛隊も侵略の軍隊に転化しようとするかぎり、皇軍に学び、米軍に学び、人間性の一片をも投げ捨て、最も残虐で、最も凶暴な軍隊にならねばならぬ宿命をもっている。そして東富士演習場のあと、来年度には富士・北海道で同時に日米陸軍数万の部隊を動員して、実動演習をおこなおうとしている。

 このように、陸・海・空自衛隊と米軍の共同演習によって自衛隊の実戦部隊化を成し遂げ、1985年日米三軍統合演習へと登りつめようとしている。かくして自衛隊は80年代中期=五六中業の過程で、自衛隊それ自身で極東ソ連軍と対決しうるアジア・太平洋における地域中核戦力へと到達しようとしている。

 私達はこれら一切の攻撃に断じて屈することなく、全力をふりしぼって、10月日米共同演習粉砕に決起しなければならない。

(3)小松基地の日米核攻撃基地化を阻止せよ!
 以上明らかにしてきたように、自衛隊の侵略軍隊への転換と侵略戦争体制の構築に連動して、その重要な一角として日本海に面する北陸全体が朝鮮・アジア侵略の最前線に化そうとしている。以下逐次明らかにする。

 ①小松基地拡張・滑走路2本化策動
 日本帝国主義の観光侵略政策のもと、小松空港の国際空港化がなされたが、森喜朗ら石川県内ブルジョアジーは「国際化」をダシにして、滑走路2本化・基地拡張の大キャンペーンをおこなった。現在のところ表面的には、この策動は沈静化しているように見えるが、すでに基地隣接県有地の一部7.6ヘクタールが80年に防衛庁に売り渡され、残り35ヘクタールの買収交渉が隠然と進んでいる。

 ②ファントム戦闘機の改修
 昨年8月には、戦術核ミサイルを搭載可能なF4EJファントム2飛行隊(36機)が小松基地に配備された。今春国会で激烈に論議されたファントムの改修について、81年度予算が凍結されていたが、それも3月27日に解除され、ファントムの本格的改修が開始された。この改修は新機種導入かそれ以上の戦力増強である。F15イーグルの頭脳(セントラルコンピューター)と世界最高レベルの対地攻撃能力を持つF16の目(火器管制装置レーダー)を結びつけた迎撃・対地攻撃両用の戦闘爆撃機に生まれ変わろうとしている。まさに私達の目の届かぬところで、2重・3重に核攻撃基地化が進められているのである。

 ③輪島沖七ツ島での対艦訓練
 昨年7月、輪島沖七ツ島上空で島を艦艇に見立てて超低空飛行(海面30m)による機銃掃射、ロケット弾発射訓練をおこなった。この訓練によって、沿岸漁業は破壊され漁民の反対をまきおこした。今年も8月22日に予定されていたが、悪天候で中止となった。小松基地は「今後漁業補償金を支給してでも訓練を継続していきたい」と言い、札束を積んででも実戦訓練を強行しようとしている。

 ④騒音コンター拡大
 去る6月27日、防衛施設庁は小松基地周辺の住宅防音工事助成対策区域を拡大した。臨調・行革が叫ばれながら、防衛費だけはその対象から外されている。自衛隊の侵略軍隊化・実戦部隊化のための基地周辺住民慰撫策として、大量にカネを流している。コンター拡大とは、まさに「次の基地強化」の前触れであり、反対闘争つぶしのための買収工作なのだ。まさにその通り、コンター拡大発表の2カ月後に「日米共同演習のための小松基地使用」が打ち出されたではないか。私たちは政府・防衛庁による「ゼニによる解決」=買収を断固としてはねのけねばならない。

 ⑤七尾港への魚雷艇入港=軍港化
 去る7月20日、七尾市の「みなとまつり」参加と称して、七尾港に海上自衛隊舞鶴総監部の魚雷艇2隻が入港した。つづく8月7日には舞鶴地方隊所属の護衛艦「いすず」「もがみ」の2隻が入港。これに先だって「いすず」「もがみ」が金沢港に寄港している。まさに広報活動といっては、各港湾に展開し、舞鶴を中心として金沢港、七尾港、伏木港の常時碇泊・軍港化を狙い、日本海制圧・朝鮮侵略の拠点にしようとしているのだ。

 また、今夏全国53カ所で防衛庁広報行事としての「チビッコ・ヤング大会」(基地公開など)がおこなわれ、金沢百万石祭には金沢駐屯地14普連教育隊80人が行列に参加、七尾港祭のパレードに舞鶴音楽隊が参加するなど、国民の軍事的総動員の先鞭をつけている。

 ⑥能登半島の核基地化
 侵略戦争に向かって絶望的軍大化に突きすすむ日本帝国主義は自前の核武装化に最後の生きる望みを託している。アメリカに次ぐ世界第2の原発立国=日帝はすでに敦賀半島の核基地化を成し遂げつつ、次の矛先を能登半島に向けている。能登原発、珠洲原発をはじめとして能登半島に核燃料を大量に貯蔵し、核兵器の兵站基地と化そうとしている。すでに全人類を何十回も殺戮するだけの核兵器が存在しながら、なお核兵器によって身を護ろうとする日本帝国主義と私たちとは絶対に相容れないのである。しかも日本帝国主義の欲して止まない核は、確実に朝鮮・アジア人民の頭上に炸裂させようとしている核である。かつて広島、長崎の市民が受けた悲惨をどうして再びアジア人民に強制することが許されるだろうか。

 私たちは血債にかけて、日本帝国主義の核武装化=敦賀半島・能登半島の核基地化に反対しなければならない。

(4)さいごに
 以上の通り北陸地方の一切合切が敦賀半島=小松基地=金沢港=七尾港=輪島レーダーサイト=能登半島=七ツ島=伏木港、そして日本海とその上空が日本帝国主義の体制延命のために、朝鮮・アジア人民に銃口を向けつつ、日々蹂躙されているのだ。私たちの生活空間のすべてが帝国主義によって支配され、他方私たちは窒息を余儀なくされている。はたしてそれでよいのか? 否、私たちはいまこそ、侵略体制に組み込まれつつあるすべてを、自分自身を含むすべてを自己のもとにたぐり寄せねばならない。能登半島を奪い返し、日本海を奪い返さねばならない。

 海の向こうで歯を食いしばってたたかっている金大中氏、金芝河氏ら無数のたたかう朝鮮人民に応えるために。たとえそれが死を賭けるほど激烈なものであっても、私たちはたじろぐことなく前進しなければならない。

              

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