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20250615 「マッチポンプ」 尹奉吉墓碑用地使用許可取消訴訟 控訴状批判

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「マッチポンプ」 尹奉吉墓碑用地使用許可取消訴訟 控訴状批判

 3月25日、金沢地裁で、尹奉吉墓碑用地使用許可取消訴訟【令和6年(行う)第14号】の判決があり、3月30日、原告は控訴した【令和7年(行コ)第3号】。その「控訴理由」に批判(➜)を加える。

① 地方自治法第242条第1項(注)に基づいて尹奉吉墓碑用地使用許可は違法、不当。民法第90条(公序良俗)に違反し、金沢市墓地条例第1条、8条(墳墓の設置以外の目的に墓地を使用)に違反しているから、契約は無効である。(注:違法若しくは不当な財産の管理、違法若しくは不当な契約の締結、違法若しくは不当な財産の管理を怠る事実)
 ➜訴状での主張と同義反復であり、判決にたいする反論・批判になっていない。

② 千葉市のホームページ「千葉市住民監査請求Q&A」(甲23号証)を例示して、被控訴人(金沢市)が不法・不当に殺人犯の碑建立を承認した。
 ➜控訴人は「(金沢市は)公金の賦課・徴収、財産の管理」を怠っていると主張しているが、金沢市は墓地永代使用料を徴収しており、反論・批判になっていない。

③ 本件は、金沢市が提示した判例「財務会計上の財産管理行為」(乙1号証)には該当しない。
 ➜私には、この点についての知見はなく、判断できない。

④ 「甲24号証(1964/1/28最高裁判決)」を提示して、民法710条の「財産以外の損害」は「無形の損害全般」を指し、尹奉吉碑は社会通念に反し、野田山墓地の財産的価値を低下させており、法令の適用を誤っている。建立許可継続によって、大問題が発生している。
 ➜「社会通念=常識」であり、「常識」は時代や社会によって変化し、「常識」がいつも正しいとは言えず、社会通念=常識を「基準」とするのは誤りである。
 ➜また「甲25号証(3/30『産経新聞』)」を提示して、尹奉吉記念館開設によって、「大問題」が発生したというが、右翼団体による不当な「抗議行動」が原因であり、本末転倒の主張である。

⑤ 「強制連行、創氏改名、朝鮮の土地強奪」は反日捏造虚言である。尹奉吉殉国碑の建立目的は反社会的な目的であり、道理がない。日本国を卑しめるという目的のために行政財産を使用しており、不当である。尹奉吉碑建立のための墓地使用は公序良俗・公共の福祉に反する。
 ➜36年間の朝鮮植民地支配には強制連行も創氏改名も土地強奪もなかったとは、中学生以下の「捏造虚言」である。
 「控訴理由書」の⑤番目に、「当時の日本政府による『強制連行』や、日本政府に『朝鮮名を奪われた』、『朝鮮の土地を奪われた』等の反日捏造虚言」と書かれている。
 朝鮮で20年間、日本人が経営する農場で、小作人管理をしていた出島権二さんの「朝鮮の苦い思い出」(当ブログに掲載)などから学ぶことにしよう。
土地強奪
 出島さんは「どうしてこんなに朝鮮の土地が日本人の手に渡ったのでしょうか。『韓国併合』の後、日本政府は朝鮮全土の土地を調査して地番の確定作業をおこないました。これは朝鮮人から土地を取り上げる策略だったのです」と話しているように、土地調査・登録に抵抗する朝鮮農民から土地を取り上げて、日本人に渡していたのである。
強制連行
 出島さんは「私が最も恥ずかしいと思っていることは、江景邑にいたときに朝鮮人の徴用に直接協力したことです。…あるとき道庁から江景邑に、そして南町の町会長である私に『朝鮮人五名を徴用せよ』との指示が来ました。私は事務員と相談して五人の徴用を決定しました。敗戟後、すぐにそのうちの一人が帰ってきて『なんであんなところへやったんか』と家に暴れこんできました。私は、日本に引き揚げるまで、隠れるようにしていました」と話しているように、朝鮮人は<忠清南道―江景邑―南町町会>の決定を拒否できなかったのである。
創氏改名
 植民地支配の皇民化政策として、朝鮮人固有の姓を廃止して日本式の名前を名のらせた。1939年11月朝鮮民事令改正によって公布、翌年2月施行。 同年8月までに新しい氏名の届け出をさせ、改名しない者には公的機関に採用しない、食糧の配給対象から除外するなどの圧力をかけた。
 『石川県特高警察資料』中の「要警戒人物」リストには朝鮮名と日本名が列記され、日本名を持たなければ移動も仕事もできなかったのである。



 尹奉吉が上海に亡命し、朝鮮独立のために戦い、逮捕され、金沢三小牛山で処刑され、野田山に暗葬された。私たち日本人こそが36年間の朝鮮植民地支配を直視し、反省するための墓碑として受けとめねばならない。このように尹奉吉碑建立には「道理」がある。
  他方、尹奉吉の行為を反社会的と評することは植民地支配の居直りであり、日本人として恥ずべき態度である。植民地支配と侵略戦争に加担した先達たちの非を明らかにするために、尹奉吉の生き方から学ぶことは「公序・良俗、公共の福祉」を実現するための第一歩であり、軍都金沢(第九師団)から平和都市に転換するために、なくてはならない墓碑である。

⑥ 金沢市の公務員は、地方自治法32条(法令遵守義務)、同法2条16項(法令に違反して事務処理をしてはならない)、地方公務員法30条(全体の奉仕者)、憲法15条(全体の奉仕者)を遵守し、「公務員の責務」として、尹奉吉碑を撤去すべきである。
 ➜金沢市(公務員)は、憲法9条(注)を実現するために、日本による朝鮮植民地支配と中国侵略戦争に立ちはだかって、戦いぬいた尹奉吉から学ばねばならない。これこそ「公務員の責務」である。
(注)日本国憲法 第二章 戦争の放棄 第九条
 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 ②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

控訴状(追加)+書証(23~27)について
 3/30『産経新聞』(「甲25号証」)は、「記念館開設に反対する右翼団体の街宣車70台以上が大音量を流しながら走行」、4/23『TV金沢』(「甲26号証」)は、民団が設置反対を表明、4/24『北国新聞』(「甲27号証」)は、町内会が設置反対を表明した、と報じている。
 その後、原告らは「控訴状(追加)」(4/30)、「甲23~27号証」(~4/30)を提出した。
 「控訴状(追加)」では、尹奉吉記念館開設に住民が不安に思っているから、金沢市は碑の建立許可継続を改めるべき、と主張している。
 控訴人らは、甲27号証の「立証趣旨」で、「被告(金沢市)は住民の民意を尊重し、碑の建立許可継続を改めるべき」と主張しているが、その「民意」はどのようにして形成されたのか。右翼団体が排外主義的な「街頭宣伝」をおこない、民団金沢の建物に車を激突させ(3/2)、住民に不安と恐怖をあおり、町を混乱させたからではないか。住民が恐れているのは、尹奉吉記念館設置ではなく、右翼団体が騒ぎ立てることであり、本末転倒も甚だしい「謬論」である。これを「マッチポンプ」(意図的に問題を起こして自分に都合のいい結論に導く行為)というのだ。
 因みに、計画中の尹奉吉記念館は、加害と被害(朝鮮植民地支配)の歴史認識を、日韓(朝)間で一致させるための施設であり、金沢市民は勿論、右翼団体こそが学ぶべき施設である。

★経過
2024年6 月28 日 住民監査請求
2024年7月26日 監査第61 号結果(通知)
2024年8月21日 提訴→8月23日受付 事件番号:令和6年(行う)第14号
2024年12月17日 尹奉吉裁判第1回口頭弁論
2025年2月14日 尹奉吉裁判第2回口頭弁論(結審)
2025年3月25日 判決(請求棄却)
2025年3月30日 控訴(控訴状 理由書)事件番号:令和7年(行コ)第3号
     (3/31)訴状訂正申立書―「理由4」を訂正
     (4/30)控訴状(追加)

☆控訴審証拠資料
甲23号証 「千葉市住民監査請求Q&A」(2024/7/31)。
 Q6 住民監査請求の対象となる事項とはどういうものですか?
 A6 住民監査請求の対象となる事項は、違法もしくは不当な財務会計上の行為又は怠る事実に限られます。公金の賦課・徴収を怠る事実。財産の管理を怠る事実。

甲24号証 1964/1/28最高裁判決 「民訴407-1に従い裁判官全員の一致で主文のとおり判決する」「民法710条のいう『財産以外の損害』とは、精神上の苦痛だけに限られるものではなく、社会通念に照らして、無形の損害全般を指すものと解される」

甲25号証 『産経新聞』(2025/3/30)「金沢市に上海天長節爆弾テロ犯の『尹奉吉記念館』開設計画―抗議行動激化、広がる波紋」
 (立証趣旨)本件は金沢市は勿論、日本全国のみならず、韓国にも及ぶ大問題発生により、今後は一層金沢市の恥部となることは確実である。

甲26号証 『TV金沢ニュース』(2025/4/23)「『断固阻止する』金沢で開設計画の”尹奉吉記念館”在日韓国人の団体幹部が反対表明」
 (立証趣旨)尹奉吉記念館開設も根底は本件尹奉吉記念碑建立許可継続と同じ問題であるから、尹奉吉記念館開設には反対であるが、本件尹奉吉記念碑建立許可継続は問題ないとする被告の発言には、整合性がないから、即刻、碑の建立許可継続を改めるべきである。

甲27号証 『北国新聞』(2025/4/24)「地元町会反対を正式決定 金沢尹奉吉記念館開設で」
 (立証趣旨)尹奉吉記念館開設も根底には本件尹奉吉記念碑建立許可継続と同じ問題であるから、金沢市の住民で構成される町会も尹奉吉の施設に反対しているので、被告は住民の民意を尊重し、即刻、碑の建立許可継続を改めるべきである。

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